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全国行脚で分かった地域性の違い――「ポタフェス Limited」ロングインタビュー(前編)(2/4 ページ)

» 2015年07月22日 11時37分 公開
[天野透ITmedia]

松田氏:広島は一番来場者が少なかったんですけれど、これは間違いなく広島カープの黒田投手に持っていかれました(苦笑)。メジャー帰りで初先発試合の日だったので、広島のみならず日本中が注目する試合でしたからね。それが「まさか今日だったか!」と思いましたよ。

――街中いたるところに「赤ヘル坊や」が居ましたからねぇ…… 僕もイベント帰りに赤いユニフォームを着た人たちを何人も見ました。

松田氏:会場選定は先にしないといけないので、黒田氏が投げるからといってその日を外すわけにはいかないですので。これはやられました……。

岡田氏:来場者の面ではネガティブに働いたかもしれませんが、実は物販コーナーの客単価は、広島が一番高いんですよ。

――それは意外ですね。何か要因があったんですか?

岡田氏:広島はプレイヤーが全体の売上のうちの2割を占めているんです。これが単価を押し上げた要因でしょうね。

 それから広島の人たちは定番品を好む傾向にあるみたいです。ネットなどで評価が安定しているものを選ぶ安牌志向です。イヤモニに関しても他の地域ではWestoneなどが選ばれたんですけど、広島ではUltimate Earsが圧倒的に売れました

――イベント後にエディオンさんの広島本店をのぞいてみましたけど、ラインアップは基本的に定番品が多かったですね。その中にちょっとニッチなものもあるという感じです。

岡田氏:あと、広島ではe☆イヤホンオリジナルのシリコンバンドが一番売れています。比率にして7人に1人の割合ですね。

松田氏:記念品的に買われていかれたかな?

――確かに、他のラインアップと比べて、圧倒的に買いやすい価格ですからね。お店のロゴも入っているし、記念品には最適です。

松田氏:広島は鳥取や島根、山口などからの来場者もいらっしゃったんですよ。で、鳥取は普段から意外と単価が高いんですね。

岡田氏:中国地方はe☆イヤホンのネット通販でも単価が高く「なんでだろう?」と思っていたんですけど、今回広島に行ってみてスッキリしました。

松田氏:山口から来た方は福岡にも来場されていました。広島は泊まりがけだったそうですよ。

――遠い大阪・東京のお店なのに、しっかりファンがいるんですね。

岡田氏:反省点は会場が分かりにくかったことです。やはり雑居ビルの一室で目立ちにくく、広島駅からも微妙に遠かったですね。あと日程(苦笑)。

 客単価などを見てみると、コアなユーザーさんがしっかりいて、でも音を聴くところがなくてたまっているものがあって、という感じです。なので今回のようにイベントをやったら、やっぱりそこにお金を使われるんです。そういった方たちは選ぶものもネットなどで普段しっかりと調べていますから。

松田氏:吟味に吟味を重ねて……。

岡田氏:定評のある物を買うというお買い物ですね。

広島会場では発表前だったハイレゾプレイヤーアプリ「Ne PLAYER for iOS」が展示されるなど、各会場で未発表アイテムも多く見られた

実はイヤフォンが人気だった沖縄

 赤ヘルに代わって雨に泣かされた沖縄だが、こちらでは東京のユーザーとは違った基準で機材を選ぶ様子が見られた。沖縄特有の文化的環境が、イベントやイヤフォンの選択にも影響したようだ。

岡田氏:沖縄は会場のコンベンションセンターが遠くて、しかも雨だったんですよね。

――諸事情で残念ながら取材には行けなかったんですけれど、会場は那覇市ではなかったんですか?

松田氏:本島の中央部で、那覇市の外でした。公共交通機関もあまり無くて「国際通りでどこか無いんですかね?」とお客さんに聞かれたりもしましたね。帰りに国際通りを見てみたんですけれど、そういうスペースが見あたらなかったです。

岡田氏:そういった事情から、コンベンションセンターがいちばん無難だったんですよね。

――それはなかなか大変でしたね。

岡田氏:広島とはうって変わって、沖縄は単価が低いです。売上内容としてはイヤフォンがなんと9割を占めています

――イヤフォンが9割!? これは甚だ意外です。基本的に車社会なので、お家でゆったりヘッドフォンだとばかり思っていました。

岡田氏:僕達も「沖縄では家でじっくりヘッドフォン」というイメージだったので、ヘッドフォンを“盛り”で持っていったんですが、蓋を開けるとイヤフォンがガッツリと出ました。

松田氏:もしかしたら暑くて蒸れるんでしょうかね? こういうのも実際行ってみないと分からない情報ですよね。

岡田氏:意外といえば、女性と子供の来場者が多かったことも意外です。

松田氏:家族連れで、中にはベビーカーをひいてくる人も数組見られましたね。

岡田氏:機材の選び方がスペックや新しさを基準とする僕達とはちょっと違っていて、沖縄の人は「音楽ツールの一環」としてヘッドフォンを選んでいらっしゃるようでした。

松田氏:中には「沖縄民謡がうまく聞けるものはないか?」という質問もありましたよ。若いお父さんだったんですけど、まるで楽器の一部の様な感じですね。沖縄の人はガジェット人ではなく音楽人だと感じました。

岡田氏:それから来場者が尻上がりに増えましたね。最初はゆっくりご飯にいける感じだったのに、時間を追うごとにバタバタしてきたんです。

松田氏:これぞ沖縄タイム(笑)

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