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ポタフェスは「音版コミケ」? そして気になる今後――「ポタフェス Limited」ロングインタビュー(後編)(3/4 ページ)

» 2015年07月24日 18時32分 公開
[天野透ITmedia]

「ライブ、どんぶり、海外来場者」年末のポタフェスは世界最大規模へ

 話は今回の全国キャラバンから年末の構想の話に移った。今回の成功を受けて「年末はもっと気合入れていくぞ」と鼻息も荒い2人。大きなトピックスは「過去最大規模」と「音質追求型本気ライブ」だ。

岡田氏:今年の12月は、ライブとポタフェスの規模拡大を予定しています。12月10日の木曜日、「豊洲PIT」でライブをやりますよ。ハコとしては3100人くらい入るので、Zep超えですね。おそらくオーディオ業界では最大規模ではないでしょうか。

昨年末にベルサール秋葉原で開かれたポタフェスの様子

恒例となった「ヘッドフォンゲート」。両サイドにスピーカーが仕込んである

――ついにライブまでやっちゃいますか。もう少し詳しく話を聞かせてください。

岡田氏:コンセプトは「いい音をもっと多くの人に聴いてもらおう」「音楽を楽しむキッカケ」です。そこから音の良いイヤフォンやヘッドフォンを使う楽しさを知ってもらえれば、というのが今回の狙いです。PA、機材、アーティスト、ハコ、全ての音にこだわりを持って企画を進めています。

――お祭りだけど「あくまで主役は音」ですね。ライブでこういった取り組みというのは、あまり聴いたことがないです。

岡田氏:「良い音」を求めるアーティストに出演を募っているところです。例えばハイレゾ音源をリリースしているとか、使用機材に音質的なこだわりを持っているとか、そういったオーディオ的こだわりを持つアーティストでなければ、こちらから出演をお断りすることもあります。

松田氏:総合的に良い音を求めています。

岡田氏:出演アーティストにはライブに向けて、例えばウチからイヤモニを提供したりするなど「もっといい音作り」のサポートをします。正直言って、どんなイベントになるのか僕にも想像がつかないですね。

「純粋に音の楽しみを知ってもらう」というコンセプトです。なので今のところ、ライブ会場では物販などは行わない予定です。詳細は未定ですが、ライブの様子はハイレゾで録音し、後日の配信などを計画しています。

――次週の秋葉原でのイベントで、各メーカーでサンプル音源に使ってもらえると面白そうですね。

岡田氏:今、お願いしているのは、それぞれのアーティストに「e-onkyo music」さんや「OTOTOY」さんのような、ハイレゾ配信をやっているスポンサーをたてることです。

――とても面白そうな取り組みだと思いますが、どうしてライブをやろうと思ったんですか?

岡田氏:今ハイレゾ配信のカタログを見渡してみると、ライブ音源のハイレゾはあまりメジャーなものがないですよね。ライブ音源ってスタジオ収録では再現できない面白さを持っていると思うんです。そういった興奮を圧倒的高音質で体験できる、こんなものを創りたいんです。

 だからライブはライブで大事に育てていきたいですね。以前のポタフェスでもベルサール秋葉原の地下フロアでライブをやっていたんですけれど、例えばスモークを焚けないとか、撤収が早いとか、そんなハコの制限が厳しかったんです。もっとライブの質を求めていきたいです。

――なるほど、再生音とライブという、2つの音楽的な楽しみを融合しようという取り組みですね。そうなるとあらゆる要素で手を抜けないですよね。これはかなり大変そうです。

岡田氏:僕たちはハードの販売店ですから、僕達の視点からハードとソフトをつなげるきっかけにしていきたいと考えています。アーティストともっと積極的に絡んでいって、創る人にも機材をもっと使ってもらいたいですね。それと同時に、ハイレゾになることで現れる「作り手の意図」をユーザーに届けたいとも思っています。

松田氏:こういうのを僕達で発信した時に、「自分たちもハイレゾやりたい!」っていうアーティストが出てくるかもしれないですね。そうなると音楽の世界がもっと盛り上がって、面白くなると思います。

 ライブイベントの1週間後、12月19日と20日はいよいよ秋葉原のポタフェス本番だ。今回も会場は「ベルサール秋葉原」で、しかも来場者数の目標は秋葉原だけで5万人。昨年より1日あたり1万人増やし、ポータブルオーディオ関連イベントとして世界最大規模を目指す。

――1日1万人増とは、これはまた随分と大きく出ましたね。

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