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「4K配信で日本一目指す」 Netflix勝利の方程式4KとHDRは上陸時に(2/2 ページ)

» 2015年07月30日 10時00分 公開
[村上万純ITmedia]
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弐瓶勉の作品がお気に入り

photo 最近は「進撃の巨人」「シドニアの騎士」などがお気に入りだという

 技術面で自信を見せるピーターズ社長だが、「最大の差別化はコンテンツ。オリジナル作品、独占配信を含めて多くのライブラリをそろえた状態でサービスを開始するので楽しみにしてほしい」と胸を張る。

 「作品ごとにターゲットがいる」という考えのもと、サービスインのタイミングでは作品ごとにどのようなポテンシャルを持つユーザーいるかという視点からプロモーションを仕掛けていくという。「例えば、『デアデビル』なら、マーベルの映画を見た人、漫画を読んだ人全員がターゲット。その中で、どのメディアでどのように訴求すればうまいくいくかを考えていく。まずはNETFLIXを知ってもらえるよう、積極的にアピールしていきたい」と語った。

 ピーターズ社長は、日本が世界に誇るコンテンツであるアニメも重要視しており、「日本のアニメは世界各国で愛されており、アニメを世界に発信する優れたプラットフォームだと認識されれば、アニメーションクリエイターにもユーザーにも支持してもらえるはずだ」と意気込む。


photo オリジナルを含む同社作品ポスターがオフィス内に並ぶ

 日本のドラマやアニメにも造詣が深いピーターズ社長は、「AKIRA」「攻殻機動隊」といった往年の名作から、「進撃の巨人」「シドニアの騎士」など、最近の漫画やアニメもたしなんでいる。「シンプルな形で、アーティストのクリエイティビティが感じられるものが好き」と語り、シドニアの騎士の作者である弐瓶勉(にへいつとむ)氏の作品について、「技術的かつ建築的なデザインにひきつけられる」とその魅力を語った。

日本と似ている市場はイギリスとドイツ

 日本は無料でネット動画を楽しんだり、週末はレンタルビデオショップに行ったり――という文化が根強く、有料のオンライン動画サービスを利用する人はまだまだ少数派という事実があるが、その点はどう攻略するのだろうか。

 ピーターズ社長によると、映像を無料で楽しむ文化は、イギリスやドイツにもあるという。平日の夜や休日など、わざわざ出かけて店に行くのが面倒なときは家のテレビでNETFLIXを見ればいいという考えで、「店舗に行くという体験それ自体を楽しむ行為はなくならないし、私自身もスターバックスに行ってゆっくり本を読む時間が好きです」と笑顔を見せる。映画館に行く、レンタルビデオショップに行く、本屋に行く、という体験とNETFLIXを見るという行為は併存するもので、「エンターテインメントを楽しむ方法の1つとして、NETFLIXは成長してきた」と話す。

 国内の民放各社がオンライン動画配信に注力していることに対しても同じトーンで、「ユーザーの選択肢が増えることは好ましいことで、オンライン動画配信に対する認知度も高まるメリットもある。サービスとコンテンツは事業者ごとに異なるので、競合せずに共存する形になれるはず」と前向きにコメントした。まずは市場全体を盛り上げていこうという方針なのだろう。

 今後の展開について、「直近で注力するのは日本だが、1年以内に世界中のすべての国でNETFLIXを提供していきたい」と野望を語った。今はアーリーアダプター層を中心に話題を集めるNETFLIXだが、世界最大の動画サービスは日本市場にどれほどのインパクトを与えるのか。オンライン動画市場の動向に注目が集まる。

photo 入り口付近に飲食スペースがある
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