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勢いを増す中国メーカー、欧州市場で既存メーカーはどのように生き残るか――テレビ関連展示で振り返る今年のIFAIFA 2015(2/4 ページ)

» 2015年09月14日 00時01分 公開

 そしてもう1社、4K OLED TVを全面に押し出しているのが韓国のLGだ。家電展示会では同社の“十八番”だった大スクリーンを使った3Dテレビのアピールはなりを潜め、今回は完全にOLED関連の展示に注力していた。いま話題のHDR技術とOLEDの相性が非常に良いため、キャッチコピーも「The Best Device for HDR」と表示しており、さらに構成部品のシンプルさからくる薄型化のメリットなど、OLEDの特性の数々をアピールする内容だ。またLGは、スマートTV対応で少し前に話題になった「webOS」のようなスマートOSを前面に出したエコシステム紹介を行っていた数少ないメーカーの1つである。YouTubeやNetflixのようなコンテンツ連携やアプリストアの紹介だけでなく、ユーザーインタフェースにwebOSを採用するメリットを丁寧に説明しており、それだけ自信を持っていることの現れなのだろう。

昨年までずっと同じホールを使用していたLGはソニー横のホールに移動。入り口の展示も昨年まではどちらかといえば3Dテレビを主体にしていたが、今年は完全にOLEDのアピールに切り替わっている。黒色の映える宇宙空間をイメージしたデモが中心
入り口からメインホールまでの間はOLEDのメリットを説明する展示が中心となっている。構造のシンプルさに由来する薄型化のほか、HDRで重要となる黒色とコントラストの再現度などが紹介されている
98型の8Kテレビを「LG Super UHD TV」の名称で展示。おそらくは昨年のIFA 2014とCES 2015で展示されていたものの改良版と思われる
webOS関連の展示。TV向けスマートOSの専用コーナーを大きく設けていたのはLGのほか、Android TVアプリの紹介コーナーが用意されていたPhilipsくらいだ

 4Kテレビを「"S"UHD」のブランドで紹介し、他社との違いをアピールしているのはSamsung(サムスン)だ。TV関連では画像処理技術やパネル技術を紹介する展示が多く、内容的に日系メーカーの展示に非常に近くなっている。また、パナソニックでは未定とされていた「UltraHD Blu-ray」プレイヤーの製品展示が行われており、2016年初頭での発売を目指しているという。おそらく、来年1月のCESのタイミングには何らかの追加発表が行われることだろう。

Samsungはブース入り口で「SUHD TV」ブランドのアピール
パナソニックはプロトタイプのみでリリース時期を明らかにしていないが、SamsungはUltraHD Blu-rayプレイヤーを2016年春に投入する意向だという

 また今回サムスンで気になったのは、BtoBやエンタープライズ関連の展示スペースが以前にも増して拡大していたことだ。エンタープライズは同社スマートフォンのセキュリティや管理機能、プリンタ製品の紹介が中心だが、BtoBはサイネージや業務ディスプレイ、そしてこれらサイネージとスマートフォン連携可能なシステムなど、パネルの利用拡大を促す展示が行われていた。Galaxyというスマートフォン製品を持つ同社は、サイネージ分野でもこうしたスマートフォン連携を加えたアピールがしやすいとみられ、ソリューション展示の最後ではしっかりとモバイル決済の「Samsung Pay」を紹介していたりする。こうした部分に強みを持つのは日本ではパナソニックだと思われるが、Samsungもまた同じ分野を主要ターゲットにし始めたのだと考えられる。

最近のSamsungは画像処理やパネル技術関連の展示が目立つのも特徴。「4X UHD」と銘打たれた8Kパネル技術のほか、「Nano Crystal Display」と打ち出した量子ドットテレビの技術展示、4Kアップスケーラーや輝度拡張など、既存技術との違いをアピールしている

BtoBを意識したソリューション展示がかなりのスペースを取っていたのも今年のSamsungブースの特徴だ。特定用途向けディスプレイ、Bluetooth Beaconとスマートフォン連動を意識して個人によって表示内容が変化するサイネージ、OLEDを活用した透過型ディスプレイケースなど、ユニークなものが多い

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