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猫がのったらどうなる? “目”を獲得した「ルンバ980」の気になるところ朗報(2/3 ページ)

» 2015年09月30日 03時21分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

動きが変わった?

 では、2つのセンサーとvSLAMを得てルンバの掃除はどう変わったのか。まず、ルンバ980は複数の部屋をまたぐ掃除が単体で行えるようになった。従来のルンバ800シリーズは25畳までだった最大稼働面積は4倍以上の112畳(185平方メートル)にまで拡大。かなり広い家でもカバーできることになる。さらに従来は部屋を順繰りに掃除させるために付属の「お部屋ナビ」を使用する必要があり、それでも3部屋が上限だった。ルンバ980では、そうした制約がなくなっている。

 動きも変わった。「CLEAN」ボタンを押して掃除が始まると、ルンバは兄弟機の「ブラーバ」のようにジグザグに動き、周囲の床を“塗りつぶす”ように掃除していく。同時にカメラで周囲の“特徴点”を抽出し、ランドマークとして記憶。障害物にあたるとiAdapt1.0の動きに戻って避けるが、壁の場合はマップ内に“印”をつけていく。

「ルンバ980」がマッピングしていく様子

 近隣の床を一通り掃除したルンバは、マップを元に壁際やテーブルの脚周り、ベッドの下といった入り組んだ場所をていねいに掃除する。これを繰り返して家全体をカバーする仕組みで、仮に自分の居場所を見失ったときは、最後のランドマークまで戻ってやり直す。そして、マップ内の“壁の印”がすべてつながるまで掃除を続けるという。

 ホームペース(充電台)への帰還も迅速だ。「ランドマークがあれば、いつでもそれを経由して目的の場所へ最短距離で移動できる。バッテリーが少なくなったり、あるいはすべての部屋を掃除し終えたと判断すると、最も効率のよいルートでほぼ一直線にホームベースへ戻る」。

1回しか通過しないで大丈夫?

 従来のルンバは、1カ所の床を平均4回通過することで念入りに掃除する仕組みだったが、vSLAMを得たルンバ980は基本的に同じ場所は1回しか通らず、効率的に掃除をすすめる。しかし、1度きりのチャンスで確実にゴミをとれなければならないため、掃除機としての基本機能も向上させる必要があった。新モーターによる吸引力の向上と2つの“インテリジェンス”だ。


 まず、「ハイパワーモーターユニットG3」と呼ばれる新世代のモーターを採用した。パワーとともにモーター径も大きくなったため、斜めにして本体に搭載することになったという。その集塵力は、「ルンバ800シリーズの2倍、700シリーズ比では約10倍」。これは実際に同じ床を掃除したときにルンバが吸い込んだゴミの数を比較したデータ。「床の上にゴミをまき、ルンバが通過した回数とゴミの数を数えると、ルンバ980は1回目でルンバ700シリーズの2倍以上のゴミを除去できた。しかも700シリーズや800シリーズが3回通った後より、ルンバ980が1回通過した場合の方が多くのゴミをとっていた」。

 「カーペットブースト」という機能も新しい。これは底面のローラーに回転負荷がかかるとルンバが『床はカーペット』と認識し、自動的に吸引口やモーターの回転数を調整して吸引力をアップさせる仕組み。繊維の奥に入り込んだホコリや髪の毛もしっかりと除去するという“インテリジェンス”だ。

 もう1つ、従来機から継承した「ダートディテクトモード」というインテリジェンスもある。ルンバはゴミ検知センサー(ピエゾセンサー)や光センサーを搭載しており、ゴミが多いと検知した場所については前後に2往復してから進む(=5回通過する)。基本的には1回しか通過しないとはいえ、ゴミの量に応じて臨機応変に対応するという。

「ダートディテクトモード」

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