しかし機能の追加によって別の問題が発生する。それは筐体の中でお互いにノイズ干渉を起こしてしまうこと。このため、一般的には4〜6層の基板を10層まで増やし、互いに独立して機能できる基板構成とした。
さらにユーザーの中にはデジタル回路を通したくない人も多いため、「アナログバイパスモード」を搭載。アナログ入力を設け、内部のデジタル回路を一切通さないで使うこともできる仕様としている。ほかにもファームウェアアップデートが可能になっているなど実に多機能な「KSE1500」。バッテリー駆動時間は、デジタル回路を通さない「アナログバイパスモード」で10時間前後、通常は7時間前後になるという。
「特許の申請や生産技術の開発を含めて約8年間。Shure本社においても、その開発は極秘で、社員でもこの製品の存在をを知らない人が多数いた」(エングストローム氏)。
完成した「KSE1500」は、世界で初めてのコンデンサー型高遮音性イヤフォンとなった。「ほぼ無質量」のダイアフラムは、正確なオーディオ再現と従来のマルチドライバー型を超える幅広い周波数レンジを可能にした。再生周波数特性は10〜5万Hz。「われわれのゴールは、高遮音性イヤフォンにおいて得た知識とコンデンサーテクノロジーの生み出す優れた音響を組みあわせ、初のポータブルコンデンサー型イヤフォンシステムを作り出すことだった。そしてSE1500は、今日において最高レベルのHi-Fiポータブル・オーディオ体験をお届けする」(エングストローム氏)。
「KSE1500」は、2015年の12月末から2016年1月に販売を開始できる見通し。価格はオープンプライスで、市場想定価格は36万円前後(税別)となっている。なお、同社では10月24日と25日に東京・中野サンプラザで開催される「秋のヘッドフォン祭2015」にKSE1500を含む新製品を展示。試聴も行えるようにする。
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