Apple TVの真骨頂は、テレビに大量のエンターテイメントを届けてくれることだ。Appleが提供しているiTunes MovieやApple Musicはもとより、アプリという形で「Netflix」や「バンダイチャンネル」といったApple以外のサブスクリプション型映像配信サービスにも対応。また「YouTube」が大画面で使えるのも、大人はもちろん、特にYouTuberに夢中な小中学生の子どもたちにとってうれしいところだろう。
これら映像・音楽のコンテンツサービスは、クラウドからストリーミング再生という形で提供される。むろん本体内にキャッシュもされるが、基本的にはダウンロード保存されない。しかし、今回、筆者が自宅の環境(OCN光 マンションタイプ)で試したところ、再生までの時間やシーンのザッピングなどはかなり速く、再生待ちなどでストレスがたまることはなかった。ADSL環境やモバイルWiMAXといったワイヤレスブロードバンド環境では試していないが、少なくともFTTH (家庭用光ファイバーサービス)の環境下ではまったくストレスなく使える。
日本の場合、FTTHサービスの対応エリアが広く、海外に比べてその価格もかなり安い。特にNTTドコモの「ドコモ光」や、auの「auひかり」のように、スマートフォンサービスとセット割にするとお得感が増すため、Apple TV導入に合わせて自宅のFTTH化をしても損はない。
Apple TVをリビングに置いてみると、その後ろにあるクラウドが巨大なジュークボックスになり、多種多様なコンテンツを気軽に楽しめるようになる。週末に家族みんなで楽しむ、恋人と2人で過ごすといった時には、Apple TVはとても重宝するだろう。
冒頭で述べたとおり、新型Apple TVで大きな特徴となっているのが、tvOS上で動くアプリの存在だ。tvOS用アプリはApp Storeで配布・販売されており、ユーザーはiPhone/iPad用アプリを買うのと同じ感覚で、Apple TV用アプリを購入できる。
今回、筆者が試した期間は新型Apple TV発売前だったため、Apple TV用アプリはまだ数えるほどしかなかった。それでもゲームやエデュテイメント、映像配信など主要なアプリは用意されており、それらをダウンロードして使うことができた。
まず何かと注目されているゲームアプリだが、今のところカジュアルゲームが中心。PS4などコンソール機の世界よりも、スマートフォン/タブレット用ゲーム機の世界に近い。しかし、Apple TVの性能自体はiPhone 6並みであるため、すぐに3Dグラフィックスを使った本格的なゲームも登場してくるだろう。
他方で、筆者が期待しているのは、ゲーム以外の「実用系アプリ」の登場だ。Apple TVではモバイル機よりも大画面が使用できるので、それを生かして通販系サービスのアプリや、ファッション系のアプリなどが今後登場してくる可能性は高い。また天気予報やニュース、交通情報など、情報系アプリもテレビの大画面に合わせてデザインされたものが登場すれば、かなり使いやすそうだ。そういったゲーム以外のアプリが出てくる可能性が高いのもApple TVの特徴といえるだろう。
実際にApple TVを家族で使い、いろいろなコンテンツやサービスを楽しんでみて感じたのは、リビングルームがクラウドとアプリを通じてインターネットの世界に広がっていくような感覚だ。さまざまな楽しさや便利さがApple TVの小さな箱を通じて手に入り、しかもそれらはSiri Remoteという魔法のタクトを使って自在に操れる。そう、それは僕らが子どもの頃に読んだSF小説に描かれていた世界そのものだ。
21世紀になってしばらくたってしまったけれど、Apple TVはテレビとリビングに、あのころ見た未来を連れてきたのである。
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