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いい音と操作性――ハイレゾ対応ポータブルオーディオプレイヤーの魅力に迫るハイレゾスタートガイド(2)(5/5 ページ)

» 2015年11月17日 00時01分 公開
[山本敦ITmedia]
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海外ブランドの“新勢力”にも注目

 ハイレゾ対応ポータブルプレイヤーの開拓者ともいえるAstell&Kernだけでなく、海外勢のメーカーから面白いハイレゾ対応DAPが続々と発表されている。その1つが米Acoustic Researchの「AR-M2」だ。ブランドの創業者であるヘンリー・クロス氏による「アコースティック サスペンション方式」のスピーカー技術はオーディオの一時代を牽引したことでも知られる60年以上の歴史を持つ由緒あるブランドだ。その初のハイレゾ対応プレイヤーは価格も13万8000円(税別)とハイクラスだが、5型のタッチパネル液晶にAndroid 4.3を搭載するなど見所が多い。

Acoustic Researchの「AR-M2」。本機もプラットフォームはAndroid

 DACチップにはバーブラウン製「PCM1794」を搭載。最大192kHz/24bitのリニアPCM再生から、5.6MHzまでのDSDファイルはPCM変換で再生できる。Androidの採用はタッチ操作など音楽再生の利便性を追求したことによるものだが、サウンドデータの流れを管理するオーディオパスを独自に作り込むことで、オリジナルのプレイヤーアプリ「AR Music Player」で音楽を再生すれば、Android標準のオーディオフレームをスルーしながら一段と上質なサウンドが楽しめることを特徴としてうたっている。さらに強力な電流帰還型のヘッドフォンアンプをはじめとするハイスペックICで構成する「AR M-Classエンジン」により原音再生を追求。ハイインピーダンスのヘッドフォンも余裕を持って力強く鳴らせるプレイヤーだ。

10月に開催された「秋のヘッドフォン祭2015」でfinalのブースに展示されていたQuestyleのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレイヤー「QP1」のスペースグレイとゴールド

 今年のヘッドフォン祭で注目の新ブランドも見つけることができた。finalのブースに出展されていた、中国のオーディオブランド「Questyle」の「QP1」だ。シーラス・ロジック製のDACチップ「CS4398」を採用し、リニアPCMは192kHz/24bit、DSDは5.6MHzのネイティブ再生をサポートしている。同社の据え置き型フラグシップモデルのヘッドフォンアンプにも搭載されているという、クラスA動作のアンプ回路「Current Mode Amplification」により低ひずみとハイパワーを実現。Linuxベースのユーザーインターフェースによるスムーズな動作を実現しており、CNC切削によるアルミニウムのボディーが高級感を醸し出している。DSD5.6MHzまでのネイティブ再生にも対応だ。日本での発売についてはいまのところ未定だが、ぜひ導入が実現してほしい製品だ。


 ヘッドフォン・イヤフォンによるリスニングスタイルが一般的になってきたいま、ハイレゾ対応のポータブルプレイヤーはいま最も熱いオーディオ製品カテゴリーであることは間違いない。スマートフォンに勝るハイパワーと音質のカスタマイズ性、高音質を1台に凝縮したことによる利便性は、使ってみてすぐに実感として表れてくるはずだ。

 次回はポータブルタイプのUSB-DAC内蔵ヘッドフォンアンプを紹介していこう。

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