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フィリップスの回転式――“元祖”電動シェーバーはどのように進化したか?滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/4 ページ)

» 2015年12月29日 06時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

フィリップスシェーバーの製品哲学

フィリップスのクリエイティブディレクター、イアン・エリソンさん

 「フィリップスのシェーバーは回転式という独自機構を採用していますが、この独自性はブランディングにとって非常に重要です。3ヘッドの回転式シェーバーを一目見たら、誰もがフィリップスのシェーバーであると理解できるからです」とエリソン氏。

 「フレキシブル、かつワイドなアングルで首が動くセントラルドライブ機構を採用しているのも同じことが言えます。どんな凹凸のある肌にもしっかり密着するという機能面で大切なのはもちろん、グローバルで成功するブランドは、必ずこのような独自のコードを数多くみつけているからです」。独自性のある“キーシグニチャー”が重要だという。

1軸で首が動くセントラルドライブ機構を採用

 しかも、キーシグニチャーは特徴的なヘッド部分だけではない。例えばフロントから見たチェストのデザインやロゴ、電源ボタン、サイドから見た際の異素材をシームレスに組み合わせた点など、デザイン面においても数多く生み出されているという。

 「それぞれの製品が、使い方を端的に表現しているところにも注目してください。クルマでもスポーツカーやSUV、セダンがそれぞれパッと見ただけで違いが分かるように、フィリップスのシェーバーも用途や目的をカラーや素材、フォルムで表現しています」(同氏)。例えば「5000シリーズ」は赤と黒の配色にくわえ、くびれのフォルムをやや直線的にすることでスピード&パワーを、「7000シリーズ」は青と白の配色で、くびれのフォルムをやわらかなカーブにすることで肌への優しさを表現しているという。そして「9000シリーズ」はシルバー×黒の配色で全体的に丸みを帯びながらも精緻なステンレスを組み合わせ、こだわりの高級感を演出した。

 「機能面とデザイン面で数多くのキーシグニチャーを生み出し、バランス良く融合する。それぞれメッセージを分かりやすく発信していることこそが、フィリップスの回転式シェーバーが持つ強みなのです」(エリソン氏)

  • 回転式シェーバーと往復式シェーバーの違い
方式 回転式 往復式
ヘッド 多くの鋼の内刃を有する独立可動ヘッドが3ヘッド 内刃を薄いニッケル・鋼などの薄片で覆ったもの
動き くるくると回転させながらシェービングする 上下に往復させる シェービングする
メリット 異なる長さや方向に生えたヒゲにも強い 直線的な肌をシェービングするのに適する

 最後にシェーバーを製造しているドラハテン工場の中を案内してもらった。

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