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数は減ったがキラリと光る技術も――CESで見えてきた家電各社のアプローチCES 2016(2/2 ページ)

» 2016年01月07日 17時50分 公開
[本田雅一ITmedia]
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圧倒的なHDR画質を見せたソニーの技術展示機

 一方、ソニーは傘下のSony Pictures Home Entertainment (SPHE)が、4K+HDRコンテンツを中心にネットで配信する「ULTRA」の開始をアナウンスしたが、今のところ日本での展開は考えていないようだ。

 また、スマートフォンの「Xperia」はスペインの「Mobile World Congress」、デジタルカメラはドイツの「Photokina」と大きな専門イベントが控えていることもあり、今回は新製品の発表がない。ソニーは今年、VRディスプレイ「PlayStation VR」の発売を控えているが、これもお披露目はロサンゼルスで開催される「E3」になるだろう。

 平井一夫CEOは、「これまでのソニーからは決して出なかっただろう、FES Watchwena wristなどを見せることができた。テレビに関しては成熟製品でイノベーションなど起きないと思っているところに、新しい技術のBacklight Master Driveを参考展示している」と今回のCESにおける展示について語った。

従来のテレビと「Backlight Master Drive」搭載テレビの違い。非常に細かい制御ができる

 ”もう進化はないと思われるところでも進化できる”、すなわち持続的なイノベーションを今後もコンシューマー向け製品の中でもやっていけるというメッセージだが、その根拠の1つとして展示したBacklight Master Driveは、確かに液晶テレビの画質を想像以上に向上させる技術である。

 おそらく横方向に1000以上の分割数があるだろうバックライトは、光漏れを抑えて分割駆動が有効に働き、また効率よく輝度を出せるように設計されており、4000nitsもの超高輝度を従来の消費電流と同等に抑えながら実現できる。

ソニーブースで参考展示されている「Backlight Master Drive」

 分割数が細かいため、見た目のHalo(ハロー)はほとんど感じられなくなり、また常識外れの高輝度が、あかるいシーンでのしっかりした色ノリを実現していた。この試作機のインプレッションは別途お伝えしたいが、暗所で観るOLEDテレビの画質をも超える印象の絵を出していた。

 製品化は未定とのことで、年内に採用製品が登場することはないようだが、開発は研究開発部門ではなく、商品化を行う部門が担っている。価格面でもOLEDよりもずっと低いコストで実現できるという。

 新製品の数という意味では寂しかったソニーの発表会だが、一目で分かる高画質を実現するBMDは、映像のHDR化が進めば大きな武器になることは間違いない。

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