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ソニーの「h.ear」ワイヤレスヘッドフォン&イヤフォンを聴く速報レビュー(3/4 ページ)

» 2016年02月18日 20時14分 公開
[山本敦ITmedia]
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「h.ear on Wireless NC」の音を聴いてみた

 まずはヘッドフォンの「h.ear on Wireless NC」から、ワイヤレス再生時のサウンドをチェックした。ソース機器には「Xperia Z5 Premium」を使用。LDACのレベルは「音質優先」にセットしてハイレゾ音源を聴いている。ヘッドフォンの左側イヤーカップにNFCのセンサーが内蔵されているので、スマホのタッチポイントを近づけてペアリングする。電源やDNC機能を切り替えるスイッチもこちら側にある。右側イヤーカップのサイドにはボリュームや再生コントロール用のリモコンを内蔵する。

Xperia Z5 Premiumと組み合わせてLDACによるワイヤレスサウンドを確認した

 装着感はパッシブの「h.ear on」よりもさらに密閉度が上がったように感じる。立体縫製イヤーパッドは厚みをよく見比べてみると、新しい「h.ear on Wireless NC」の方がわずかに肉厚になっているようだ。そのぶん音作りにも違いが表れる。両方を有線接続にして、「h.ear on Wireless NC」は電源を入れた状態で音を聴き比べてみたところ、どちらもハイレゾの密度感とクリアで緻密な中高域のテイストはそろえていながら、「h.ear on Wireless NC」の方が少し中低域の成分が濃いめで、全体がタイトに引き締まっている。これに比べるとパッシブの「h.ear on」はクリアでより開放的な中高域に“らしさ”が現れるように感じた。なお、電源オンの状態で「h.ear on Wireless NC」単体をワイヤレスとワイヤードで聴き比べてみたが、ここはブレのない一貫して安定感のある音に仕上がっていた。

左がパッシブタイプのh.ear on。イヤーパッドの厚みが少し違う
「h.ear on Wireless NC」にケーブルをつないで通常の「h.ear on」と聴き比べた

 DNC機能の効果については先に触れた通りだが、イヤーパッドによるパッシブなノイズキャンセリング効果もかなり高い。大勢の客で賑わうカフェでDNCのスイッチをオンにすると、周囲の喧噪はたちまちすっと消える。DNCのオン/オフをボタンから切り替えるとチャイムが鳴って知らせてくれる。以下のリファレンス音源の試聴は、すべてDNC機能をオンにして行っている。

 TMネットワークのアルバム「Self Control」から、タイトル曲の「Self Control」では、シンセサイザーやエレキギターの高域がしっかりと鳴って力強い。ドラムスのリズムも軽快だが骨太なタフネスを感じる。しなやかさとタイトさを併せ持つ。ボーカルは滑舌にメリハリがあって、中高域も明るくエネルギッシュ。声の稜線がはっきりと描かれ、力強さが前面に押し出る印象だ。複雑な編曲もディティールの解像感を保ちながら、それぞれの音源が強めの存在感を放つ。

側面にビートレスポンスコントロールの孔を配置

 小沼ようすけのアルバム「GNJ」から「Explorer」では、ギターのフレーズが鮮やかに描かれる。音色に無駄な色づけはないが、インプレッションそのものが少し強めに表れる。余韻成分はやや淡泊だが、さわやかな切れ味。ベースラインはギターが奏でる主旋律にピタリと寄り添いながら、たっぷりとした抑揚を描く。音の立ち上がりが鋭く、脚力が強靱な印象だ。パーカッションのリズムも乱れが無く正確性に富む。パッシブの「h.ear on」に比べると空間表現がややナローでタイト気味な音づくりであるように感じるが、本機は体躯を絞り込んだアスリートのように筋肉質で無駄のない安定したグルーブがつくれるところが特徴的だ。

 ダフト・パンクの「Random Access Memories」から「Get Lucky」では、タイトに引き締まったベースラインが心地良くきまる。スピーディーでしなやかな旋律だ。中高域のレイヤーとの距離感はやや狭めだが、むしろ一体感あふれる熱いビート感がEDM系の楽曲にはピタリときた。ボーカルは声にメリハリがあって、歌ものの曲はリリックが耳の奥までしっかりと届いてくるようだ。ギターのカッティングの音色には雑味がなく、小気味良くリズムを刻む。どの楽器の音も力強くそのエッセンスが引き出されるようだ。ボーカルを中心としたサウンドステージは定位感がとても安定していて、奥行きの見通しもクリアだ。

 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルの「ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界より』」から「第4楽章:フィナーレ(アレグロ・コン・フォーコ)」では、弦楽器や金管楽器の高域はトップの音域までグンと一気に加速する。1つ1つの音にブレがなく、生命感が艶やかに浮かび上がる印象だ。DNC効果がとても高いので、ピアニッシモで展開される木管楽器のソロの旋律も、ソース機器のボリュームを上げ過ぎなくても細かいニュアンスが自然と耳の奥へ飛び込んでくる。リスニングしていて、音が聴きづらく感じるストレス感は皆無だ。

専用セミハードケースに入れたところ

 ハイレゾ音源の解像感がちゃんと楽しめて、しかも音楽を生き生きとダイナミックに鳴らすことにも長けたヘッドフォンだ。ロックやポップス、EDMなど確かに若い音楽ファンが気になる音源はハイレゾのソースでなくてもその魅力を十分に引き出せる相性の良さを発揮する。

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