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ソニーの「h.ear」ワイヤレスヘッドフォン&イヤフォンを聴く速報レビュー(4/4 ページ)

» 2016年02月18日 20時14分 公開
[山本敦ITmedia]
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「h.ear in Wireless」の音を聴いてみた

 「h.ear in Wireless」は本体が約38gと非常に軽いので、肩に乗せたときの負担感が非常に少ない。イヤフォン部は先に発売されている「h.ear in/MDR-EX750」とまったく同じで、女性も身に着けやすいコンパクトさだ。本体の右側にNFCの接点があり、左内側にはボリューム調整と曲送り、ハンズフリー通話用のコントローラーボタンが配置されている。身に着けると首もとに比較的タイトにフィットしてくるため、冬場にマフラーを着用しているとイヤフォン側からの操作は若干しづらくなってしまうが、これは本機に限らずネックバンド型イヤフォン全般の宿命と言える。

 音質のチェックはヘッドフォンと同じくソース機器にXperia Z5 Premiumを使用。LDACの音質は「音質優先」にセットして、ハイレゾの楽曲を聴いた。

Xperia Z5 Premiumと組み合わせてLDACのサウンドを聴いた

 TMネットワークの「Self Control」では緻密さと力強さとのバランス感覚がほどよい。空間描写に自然な広がりが感じられる。ボーカルは声の繊細な表情を余さず伝えてくる。シンセサイザーやエレキギターの高域に柔らかさがあり、すうっと伸びて爽やかな余韻を残す。音色は「h.ear on Wireless NC」に比べるとややあっさりめで線も細くなるが、芯が強く生き生きとしたリズムの再現性は共通のものだ。声の透明感とナチュラルに広がる余韻のグラデーションも、ハイレゾらしさをしっかりと感じさせてくれる。

 小沼ようすけの「Explorer」では、楽曲のイメージを奥行き感深く、自然な色合いとともに描き出す。まるで大判の日本画に相対しながら眺めているような、雄大なスケールの情景がそこに表れてきて、さらに色彩感も日本人の好みにマッチしている、そんな感覚だ。アコースティックギターの音は温かくディティールの情報量も豊富。ギターのハコ鳴りをどっしりと響かせる。乾いたパーカッションの高域の抜け味もいい。バンドを構成する楽器の位置関係が手にとるように分かる。この楽曲の魅力を最大限に引き出してくれるベストな組み合わせだ。

 ダフト・パンクの「Get Lucky」はタイトな中低域の安定感に、立体的で広々とした空間再現のバランス感覚が絶妙だ。やはりこの楽曲でも立体的なサウンドスケープが描き出される。乾いたトーンのボーカルは輪郭の表情も自然に蘇る。低域を分厚くどっしりと響かせるタイプではないが、中高域とのバランスが整っている、タイトで滑らかなグルーブ感が本機の真骨頂だ。ハンドクラップやエレキギターのカッティングによる高域の粒立ちがよく鮮度も高い。EDM系の楽曲は力強さを感じさせながら、同時に音楽性もしっかりと味わえる。まさにh.earシリーズが狙うところである、若い音楽ファンに好きな音楽を聴きながら、“いい音”へのステップアップも実感させてくれるイヤフォンと言えるのではないだろうか。

ネックバンドの左側アームの部分にコントローラーボタンを配置

 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の「新世界より」では、厚みのあるストリングスの和音がきれいにフェードアウトしていく。打楽器の低域は鋭く切れ味に富み、各帯域の音が重なり合ってもそれぞれのレイヤーが混じり合うことなく、きれいに分かれる。S/Nも非常に良く、例えばピアニッシモで展開する木管楽器の音色も、にじみのない凛とした実在感をそのまま伝えてくれる。ハイレゾらしい空気感もしっかり再現されるし、一方では音量を上げても破綻しないパワフルさも持ち合わせるキャパシティの大きさを感じた。

 電池切れの際にはプレーヤー機器に有線接続できるバックアップ的な機能も備えている。MicroUSBでつなぐ専用ケーブルになるが、付属するキャリングポーチの中に常備しておけば安心だ。なお有線接続で聴くと、ワイヤレスの場合と比べて若干低域のインプレッションに厚みが加わる感じがした。

 h.earシリーズに新しく加わる2つの製品は、「ソニーのハイレゾ」にまた新しくバリエーションが広がったことを感じさせる個性豊かなサウンドが特徴だ。パッシブの「h.ear on」や「h.ear in」と聴き比べながら、それぞれのテイストの違いにも耳を傾けてみたい。

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