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努力せずに女子力を上げる家電、収入を1.5倍にした冷蔵庫など――三菱電機のスゴい技術を見てきた滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(4/5 ページ)

» 2016年02月25日 08時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

女心に響く製品コンセプト――罪悪感をポジティブに解消する

 こちらは三菱電機のデザイン研究所に在籍する女性社員発信による製品コンセプト。「いい女でありたい」――女性にとっては永遠の思いであり、現代風に言い換えれば「女子力アップ」。でも、なるべく努力などしたくないし、努力ではどうにもならないところもある。そんな女性の自然な動作や仕草、想いと製品を融合することで、“いい女”風に生きられるという家電コンセプト作りが始まっている。

 おそらく抽象的な説明を読んでもさっぱり分からないと思うので、具体的な製品コンセプトをみていこう。この説明がイメージしやすいのが、洗濯物を保管する消臭カプセルだ。本来、その日に着た洋服は、その日に洗濯すべきだ。繊維奥に汚れもしみ込まないし、洋服自体をきれいに保つことができる。ただ、現代人は仕事をしている人も多く、家に帰ってから毎日家事をする気にもならないため、自分「都合」で、当然洗濯は週末にまとめ洗いというライフスタイルの人も多い。

消臭カプセルのコンセプトモデル。ドラム式洗濯機の上に置いているイメージ

 そんな人の洗濯かごは、平日にどんどん汚れた服が溜まっていくため、なんとなく居住空間として見た目もよくないし、「いい女でありたい」という想いとは真逆の行動ということもあって人によっては“罪悪感”すら感じてしまう。この都合や罪悪感を解消し、むしろ洗濯するよりも“洗濯物を貯めることがポジティブ”と思えるようにする家電が、この消臭カプセルだ。

 あえて消臭カプセルに入れることで、汚れた洗濯物のニオイなどを除去することができて、カプセル内に保管するため外見も問題ない。仮に家を訪ねて来た友人や恋人に洗面所を見られても、無理なく“いい女”を装える、というわけ。

 ただ、こういう“なにげない女心”を実際に三菱電機はすでに製品化している。それがコードレススティック掃除機「インスティック」だ。コードレススティック掃除機自体は、表に出しておける掃除機であり、手軽に即掃除ができると、使い勝手の良さを前面にヒットしている。だが、そのほとんどは、やっぱり“掃除機”然とした形を脱却することはできず、壁際などにひっそりと出して置くことがほとんどだ。

玄関に置かれた「インスティック」。一見トールスピーカーのようで掃除機には見えない

 でも、どうせ出しっ放しにするなら、あえて“出しっ放し”にすることをポジティブに受け取れるものにすればいい。「インスティック」は、充電台に空気清浄機能を搭載することで、掃除機を部屋の中に出しておく理由を加えた。つまり、新しい技術とデザインを組み合わせ、掃除機を“出しっ放しにするべきもの”に変えることに成功したのだ。そんな製品作りの“種”を“女心”に求めたコンセプト展示がこれである。

そのほか、女性らしさを演出するために、ハンカチが常に清潔な折り目で出せるハンカチケースや、ブーツなどを履いている時に気になる足裏の秘密なニオイを、歩くだけで消臭できる廊下なども提案

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