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クラウド連携が提供する“新しい価値”とは?――「ダイソン ピュアクールリンク」の狙い(3/3 ページ)

» 2016年03月30日 08時00分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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大事なのは「履歴」だった

 「Dyson Pure Cool Link」では、内蔵センサーで計測した数値を参照できるのはアプリのみ。本体の表示部では確認できないが、この点について同氏は、「大きな表示にはしたくなかった」と説明している。「例えばオートモードのAマークは色で空気の状態を示すことができます。空気が汚いと赤くなりますが、きれいになると緑色に変わります。これで十分でしょう」

 なにより表示部を最小限にしたのは、実際にモニターユーザーの使い方を見て決めたことだった。「ユーザーの行動を見ていると、常に空気の状態をチェックしているわけではありませんでした。大事なのはリアルタイムの状況ではなく、“履歴”だったのです。過去にさかのぼり、何時頃に空気が汚れたか。そのとき家族は何をしていたのか。少し長いスパンで状態の変化を知ることができれば、スケジュール設定の参考にもなります」

履歴表示画面

 ダイソンがネットワーク対応製品を発売するのは、今回が2度目だ。1度目は昨年日本で先行発売したロボット掃除機「Dyson 360Eye」で、リモート操作のほかに、履歴画面から掃除した経路をマップ状に表示して可視化する点がユニークだった。ユーザーがいないときにロボット掃除機がどのように動き、どこを掃除したかが手に取るように分かる。ロボットの掃除に対する不安を払拭し、信頼感につながるだろう。

「Dyson 360Eye」が掃除した経路を示すマップ表示

 「360Eyeのマップ表示はユーザーにとって有用な情報です。コネクティビティ(ネット接続)が付加価値につながった例ですね。そしてPure Cool Linkの場合は、やはり“履歴”がバリューになります。自分たちのライフサイクルにおいて、どういった場合に空気が汚れるのかが簡単に理解できます」。

 「Dyson Link」アプリは、3月末にiOS版とAndroid版の両方がアップデートされる予定。トップメニューには、ロボット掃除機の「Dyson 360Eye」と「Dyson Pure Cool Link」がリストアップされ、1つのアプリで両方を操作可能になる。また将来登場する製品もここに加わる見通しだ。それはつまり、ダイソンが継続的にクラウド連携を前提とする“スマート家電”に注力していくことを示している。ウィルソン氏は、「将来の製品に関して話すことはできません」と前置きした上で、「コネクティビティの活用については、たくさんの可能性があります。ユーザーの皆さんに“本当の価値”を提供していきたいですね」と話した。

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