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世界的な“独り身世帯の急増”で市場が変わる?――GPC&CE Chinaレポート(1)本田雅一のTV Style(2/2 ページ)

» 2016年04月22日 06時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
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 その結果、新興国市場が(その場所を移動しながら)成長するのだが、一方で従来からの大都市圏には生活スタイルの明らかな変化が起きる。それは「独り身世帯の急増」だ。これは都市型の生活スタイルや平均収入向上による娯楽の多様化などによる晩婚化だけでが原因ではなく、平均寿命の男女差などから死に別れた老人独り身世帯などの増加もあるだろう。gfkは独り身世帯が2030年に40%増加すると予想している。これは製品、サービス、商品などの消費傾向に小さくない影響を与えるはずだ。

独り身世帯が急増し、2030年までに40%増加すると予想している

 その影響は直近のデータにも表れている。例えば先進国では開発され尽くしたと思われているスマートフォン市場は、中国市場でも今年の成長率(出荷台数ベース)が3%と予想されている。北米は2%、西欧州は4%だ。しかしグローバルでの出荷は7%増になる。なぜなら、アジアの新興市場で22%、中東とアフリカでの成長が16%、それぞれ見込まれているからだ。

2015年から2016年にかけてのスマートフォン市場

 成長市場の構成比も”地域”で見れば、決して小さなものではない。中国やアジアの先進国(日本や韓国)を除くアジア各国におけるスマートフォンの出荷予想は、北米市場全体よりも大きい(全体の14%対16%)。

 しかし、異なる点ももちろんある。それは平均単価だ。新興市場の開拓は、端末の平均単価下落によって為されている(もちろん、アップルはiPhone SEを除き端末価格を下げていないという主張もあるだろうが、むしろアップルはこうした市場背景を元にiPhone SEを投入しているのであはないだろうか)。グローバル市場を見すえて製品やサービスを企画、展開する上で、こうしたことは重要なポイントとなるだろう。

今年のIFAはさらに規模を拡大

 GPCでは他にもさまざまなトレンドが紹介された。それぞれについては、前述したように別途、記事でお伝えしたいが、メッセ・ベルリンが主催するIFAは今年、8月31日からのプレスデーで始まり、9月2日から7日までの6日間で展示会が開催される。

 ”テクノロジー”を中心に、自動車やモバイル機器、スマートフォンなどへフォーカスを移しながら拡大しているラスベガス開催のCESに対して、IFAはあくまで白モノ、黒モノなど”家電”が中心。実際に消費者が手に取って選ぶ商品とのコミュニケーションが中心となるが、フォーカスしている点が異なるためかCESとは異なる方向での成長が続く。

 昨年も展示会場が0.3%増加したそうだが、この数字は展示会場そのものの面積に依存している。新会場を建設しても、すぐに出展希望者で埋まってしまい、出展したくてもできない待ち行列が長くあるとのことだ。

 そこで、IFAの中でも主にB to Bでの商談を目的に出展する企業を分離。「IFA Global Marketplace」という別イベントとして、IFAと同期間にベルリン市内に約1万平方メートルの展示スペースを確保する。このエリアはトレードを目的とした訪問者とプレスだけに公開されるエリアになるという。B to Bエリアを分離したことで、今年はさらに大きなIFAとなるだろう。

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