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「ヘッドフォン祭」で見つけた、ちょっと驚くイヤフォン3つ春のヘッドフォン祭2016(2/2 ページ)

» 2016年04月30日 16時39分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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ユーザー大事にし過ぎ 一緒に開発を進めるイヤフォンメーカー

 バラバラだけどイヤフォンである。型番はまだない。

マル秘機種をイベントで試聴できるとな?

 見つけたのは、「JAPAEAR」(ジャパイヤー)ブランドのイヤフォンを開発・販売しているJAPANイヤホン製造のブース。15年以上イヤフォンやヘッドフォンの開発製造に携わっている内藤亮文社長が、ただいま絶賛開発中の「マル秘機種」だ。

 ただし、決まっているのはアルミ製ハウジングのデザインとダイナミック型ドライバー1基を搭載するということまで。大事な音作りについては、「どこまでユーザーと一緒にイヤフォンを開発できるか、チャレンジしているところ」(内藤氏)という。

 確かに、多くの人が好む音を実現できれば最高だが、人の好みは千差万別なので簡単にはいかない。ブースには、ほかに“形になった試作機”もあって来場者が次々に試聴していたが、「試作機のままで発売してほしいという方もいますし、まだ完成には遠いという方もいますね」と笑う内藤氏。このため発売はいつになるか分からないという。うん、なんとなく分かってました。

 ちなみに価格については、「1万円を切る程度に抑えたい」と話していたので、気になる人は気長に待とう。

その発想はなかった! 振動板を貫く同軸ハイブリッド型

 最後は上級編。スピーカーやイヤフォンを知っている人のほうが驚きそうなドライバーを見つけた。

 場所はサエクコマースブースのDynamic Motionコーナー。「DM200H」という最新モデルに搭載される「世界初の一体型同軸ハイブリッド型ドライバー」(同社)だ。同軸ドライバーというのは、複数のユニットを同じ軸の上に配置することで理想的な“点音源”を得る仕組み。ただし、前に設置するドライバー(多くは小型ツィーター)が後ろのドライバーから出た音をジャマする構造のため、なかなか難しい。

開発元のDynamic Motionでは「Bulls Eye」(雄牛の目)と呼んでいるそうだ。ちなみに後ろにはBA型のお尻が飛び出している

 新しいドライバーは、BA型とダイナミック型を同軸上に並べたハイブリッド型2Wayで、大胆な発想の転換で問題を解決していた。なんとダイナミック型の振動板は穴のあいたドーナツ状で、そこにBAユニットを突っ込んだのだ。ユニットの後ろ側を見ると、ダイナミック型を貫通したBA型のお尻が出ている。そしてダイナミック型を駆動するマグネットもドーナツ状になっていた。

 確かに両ユニットの音はスムーズに出てくるかもしれないが、振動板の中央に穴があっても問題はないのだろうか。「分割振動させないよう、周囲をリングで支える構造になっています」とサエクコマースの説明員。それだけでは納得できそうにないが、「DM200H」は6月から日本でも販売するため、近いうちに詳しい情報が出てくるだろう。価格は未定だが、2万円台後半から3万円程度になりそうだという。

「DM200H」

 ちなみにDynamic Motionは、韓国のドライバー製造大手。30年以上にわたってダイナミック型ユニットのODMを手がけており、世界中のヘッドフォン/イヤフォンメーカーに製品を納入しつつ、2013年には自社ブランドを立ち上げた。ダイナミック型ドライバーの研究開発にも熱心で、数々のユニークなユニットを送り出している。今回の「Bulls Eye」もその1つといえそうだ。

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