同社DXフォーマット機では初めて、液晶モニターのタッチパネルとチルト可動に対応したことにも注目したい。タッチパネルでは、ライブビュー撮影時の測距点選択のほか、タッチシャッターや再生コマ送り、拡大操作、著作権情報の文字入力などがスムーズに行える。
チルト機構は3軸ヒンジ構造で、上方向に最大で約120度、下方向に最大で約85度の可動に対応する。液晶サイズは3.2型で、ドット数は約236万ドット、視野角は170度となる。十分な精細感と明るさがあり、屋外でも良好な視認性を確認できた。
チルト液晶の使用感としては、ライブビュー撮影時のコントラストAFが遅い点が気になったが、ローアングルやハイアングルでの撮影が楽に行える点はありがたく感じる。特に接写やスナップ撮影時に役立った。
機能面では、BLE(Bluetooth low energy)による常時接続機能が面白い。ニコン製のアプリ「SnapBrige」(iOS、Android対応)を使ってスマホやタブレットとつなぎ、撮影中や撮影後にデータ(2メガ相当の縮小画像、またはオリジナルのJPEG画像)を自動転送できる機能だ。
従来どおりのWi-Fiによる画像転送も可能だが、Bluetooth接続の場合は消費電力が少ないことがメリットだ。いったん接続して自動転送にしておけば、その後は設定を気にせず撮影に専念でき、撮影後には全データの縮小画像をスマホ上で素早く確認できる。
さらに専用サイトへの自動アップロードや、GPS情報の付加、クレジット情報の埋め込み、時刻の同期などもBluetooth経由でスムーズに行える。カメラの電源がオフの状態でも、カメラ内画像の閲覧ができる点も便利である。
そのほかの撮影機能としては、人工照明の明滅による露出のばらつきを抑えるフリッカー低減機能や、撮像範囲を限定して望遠効果を得る1.3×クロップ機能、ミラーアップ撮影時に振動を抑える電子先幕シャッター、カメラの水平を厳密に確認できる2点拡大表示などを搭載している。
動画は、最大3840×2160ピクセルの4K記録に対応。動画からの静止画切り出し機能や、インターバル撮影した静止画から動画を生成する微速度撮影機能もある。
ボディは、高剛性炭素繊維複合素材を用いたモノコック構造。既存モデル「D750」などにも共通した構造であり、深いグリップによる良好なホールドバランスも受け継いでいる。また、上面カバーや背面カバーにはマグネシウム合金を採用。剛性感のある頑丈なボディといっていい。
一眼レフの証しともいえる光学ファインダーには、視野率100%のガラス製ペンタプリズムを搭載する。倍率は1倍と高く、APS-Cサイズ機のファインダーとしては、視認性は非常にいい。画面の隅までくっきりと像を見られる。
トータルとしては、軽快なスピードと安定感のある画質を兼ね備えた一眼レフとして、高い完成度を実感できた。特にスポーツや動物などの動体撮影では、撮ることが楽しくてしょうがなく感じるくらい快適だった。価格は手ごろとはいえないが、購入すればきっと長く付き合えるカメラになるだろう。
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