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「スマート契約」で電気代はスマートになるの?――東電に聞いてきた(2/3 ページ)

» 2016年05月24日 17時08分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

花尾氏:そうですね。高くなる可能性はあります。しかし、スマート契約は、電気の利用実態により近い契約形態です。

 今までのブレーカー契約では、60Aなら「60Aまで使える」という“枠”を買っていただいていた形でした。われわれは、一般のご家庭の“圧縮率”を6〜7割と想定しています。圧縮率というのは、例えば60Aの契約をしている家庭でも常に60Aをフルに近い形で使用しているケースは少ないですよね。普通はブレーカーが落ちない範囲で使おうとします。その実績を見ると、60A契約の場合では平均40A〜42A程度です。これを「圧縮率」といいます。

 圧縮率を元に考えると、例えば従来のブレーカー契約で60Aの場合、1カ月の基本料金は1684円80銭です。60Aというとかなり電気を使う家庭なので、これを新しい「プレミアムプラン」に変更すると考えます。先ほどの圧縮率を元に、実際に使う電気使用量が最大40Aとすると、スマート契約で算出される「契約電力」は4kW。プレミアムプランの基本料金は、契約電力1kWにつき468円なので、468円×4kWで1872円となります。この場合は従来(従量電灯Bの60A)より少し高い計算になりますが、基本的にわれわれは従来とトントンになることを想定して数字を出しています。

――プレミアムプランでは最初の400kWhまでは定額の9700円。従来の従量電灯Bで400kWhまで使うと約9988円ですから、基本料金を合わせた金額はトントンですね。400kWhを超えた分は使用量が多いほどプレミアムプランのほうが安くなるりますね

プレミアムプランの電気量料金のイメージ。400kWhまでは定額で、それ以上は従来プランより安い。ただし400kWhに満たない場合は従量電灯Bのほうが安くなる(基本料金は別途)

プレミアムプランが1kWhにつき29円04銭で、従量電灯Bは29円93銭のため、400kWhを超えた分は使用量が多いほどプレミアムプランのほうが安くなる

河田氏:プレミアムプランの場合、さらに「付帯サービス」として通常は有料で対応している電気設備に関するトラブル時の点検、調査、応急措置の“駆けつけサービス”が無料で付いてきます。またポイント(T-POINT、Ponta)も電気料金1000円(税別)につき5ポイント貯まります。

――駆けつけサービスでは修理まではやってもらえないのですか?

河田氏:調査、点検までの対応になります。例えば「停電して困っている」といった相談から、配線の断線の調査といった部分までは対応できます。ただ、直す部分は工務店さんなどの対応になります(別途費用がかかる)。

――スマートメーターについて、もう少し教えてください。切り替えた後、電化製品を使っているときにブレーカーが落ちることはなくなるのですか?

花尾氏:一般的な分電盤には「アンペアブレーカー」が付いていますが、これが切れる(落ちる)ことはなくなります。ただ、利用者の希望によってブレーカーを残すこともできますし、スマートメーターにもブレーカー機能があり、上限を設定することができます。それに通常の分電盤には、コンセントの系統ごとに何アンペアまで使えるという小さなブレーカーが複数ありますよね。例え大きなアンペアブレーカーがなくなったとしても、これらのブレーカーは残りますので、「ブレーカーが落ちなくなる」というのは間違いです。

――なるほど。では、新プラン導入前にスマートメーターに切り替える手段はありますか?

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