河田氏:東電管内では、2014年からスマートメーターへの切替を進めており、例えば2015年に新築された家などはスマートメーターが入っています。現在は400万件以上の移行が済んでいて、順次切り替えも進んでいますが、順番がいつになるのかは分かりません。すぐにスマートメーターで電気使用状況を確認したいという場合、まず「スタンダードS」プランに移行してみるという方法があります。
スタンダードSプランは、従来通りの「アンペア契約」で、300kWh以上使う家庭なら「従量電灯B/C」とほぼ同じ料金体系になります。口座振替を利用している場合、「口座振替割引サービス」はなくなりますが、新たにポイントが付きますので料金はほぼ変わりません。まず、こちらに入ってスマートメーターに切り替え、ユーザー向けサービスの「くらしTEPCO」を参照すれば、30分ごとの使用電力量が分かります。
――最後にスマート契約で基本料金を安くするコツがあれば教えてください
花尾氏:朝の時間帯など、もっとも電気を使う30分間を把握して、同時に使用する電化製品を減らす――例えばエアコンの立ち上げ時は電力消費が大きいですし、ほかにもドライヤー、電子レンジといった電気消費の多い家電製品の使用時間をずらすことが重要です。
――ありがとうございました
今回の取材を通じて、スマート契約の「実際の使用量に即した契約」というコンセプト、そして「節電すれば電気代が安くなる」というメリットは理解できた。ただ、単純に電気の使用量を抑えればいいわけではなく、「ピークを抑える」努力が必要になる点に注意が必要だ。
このため、スマート契約にはあまり適さないライフスタイルの家庭も存在する。例えば子どもが独立して夫婦や単身で暮らしている高齢者世帯。普段はあまり電気を使わなくても、盆や正月に子どもや孫が集まったりすると電力消費が急に増え、そのピークが1年間の基準値になってしまう。そして料金が下がる前に次の盆や正月が来る。これでは普段どんなに節電を心がけていても意味がないだろう。
一方、今後は家電によるアシストも少し期待できるかもしれない。例えば三菱電機が7月に発売する新しいヒートポンプ給湯機「エコキュート」(SRT-S372U/W372)は、スマート契約の電力プランに向け、「運転能力を通常より低く抑え、運転時間を長めにしてお湯を沸かすモード」を用意した。こうした製品が増えてくれば、ユーザーが意識しなくてもピークを抑えられる。さらに、将来的に低コストの家庭用蓄電池が登場したりすると、蓄電池で補完することでピークをなくすこともできるかもしれない。
このようにスマート契約の料金プランは、積極的に活用しようとする人や、将来の可能性という点で大きな魅力を持つが、ライフスタイルによっては適さない家庭もある。いずれにしても、該当する電力プランを検討する場合には、年間の電気使用状況を十分に確認しておきたい。
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