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上位機に迫る機能を持った新エントリー! Astell&Kern「AK70」を徹底解剖ハイレゾ入門機(2/4 ページ)

» 2016年07月07日 10時30分 公開
[山本敦ITmedia]

 USBオーディオからのデジタル出力は、意外にもAKシリーズとしてはAK70から初めて搭載される機能だ。DSD音源のUSBオーディオ再生はDoP(DSD Audio over PCM Frames)とリニアPCM変換が選べる。なお、PCに接続してAK70をUSB-DACとして使うこともできるが、インターフェースの規格がUSBオーディオ1.0までなので、再生できる上限はリニアPCMの96kHz/24bitまでになる。

DSD再生はDoPとPCM変換から選べる

 「AK380」から採用が始まった「メタルタッチ」と呼ばれる、どの画面にいてもトップメニュー画面に一発で戻れるセンサー式のボタンが好評を受けたことから、これに近い機能がAK70にも搭載された。3.3型の液晶パネルの表側下の方にある丸い印がセンサーになっていて、これをタッチするとトップメニュー画面にすぐ移動できる。楽曲再生中にトップメニューに移動すると、画面の上部には再生中楽曲のカバーアートが表示される。いままではその画面の大半を「アルバム」「アーティスト」などのメニューアイコンが埋めてしまっていたが、AK70からはメニューアイコンを下に引っ込めて、カバーアートの領域が押し広げられるようになった。800×480ピクセルに高解像度化されたディスプレイのメリットが生きる機能だ。今後はファームウェアの更新により「AK120II」「AK100II」以降の世代のモデルにも順次搭載されていくという。

本体フロント側の正面にはトップメニュー画面に一発で戻れるセンサーキーを配置。ディスプレイの下にある丸い印をタップする
音楽再生中のトップメニュー。通常は色んなメニューアイコンがカバーアートを隠してしまっているが、ボタンを下にスライドさせるとカバーアートの表示領域が広げられる

片手持ちがしやすくなった

 先に機能周りの変更点から説明してしまったが、お気づきの通り、デザインがAK Jrから大きく変わっている。スリムで面長だったAK Jrが縦の長さを縮めて、大人の男性の手のひらにすっぽりと収まるような小振りなサイズになっている。質量がAK Jrの98gよりも、AK70が132gと少しアップしているので、手に取るとやや重くなった感じはある。筆者は片手持ちでの操作感がよりスムーズになったので、これは良しとしたい。でも一方でAK Jrのウルトラスリムデザインの方を好む向きがあることも納得できる。

ボリュームボタンは大きめで操作しやすい
側面を斜めにカットしたデザインなので片手持ちがしやすい。底部にUSB端子を装備

 表裏がフラットなデザインのAK Jrに対して、AK70は本体の右側が斜めにカットされたエッジなデザイン。これが片手持ちでの安定感を高めている要因だ。ボリュームダイアルは本体に対して平行に配置していたAK Jrに対して、AK70では「AK380」や「AK240」と同様に垂直にクロスする方向でレイアウトした。ダイヤルも大きめなので、ポケットにいれたままでも操作しやすかった。

側面に音楽再生コントロール用の物理キーを配置。microUSBスロットも設けた

 カラーバリエーションはアルミのメタリック感を生かした淡いミントグリーン。メーカー的な公式名称は「ミスティ・ミント」だが、照明の色合いによってはアイスブルーっぽくも見える。カラバリはこの1色のみ。昨今はブラックやシルバーなど取りあえず無難な本体色のオーディオ機器が多いので、この“攻めてる”カラーは筆者としては夏っぽいし悪くないと思う。店頭に並んでいても目を引きやすい。でもやっぱり、組み合わせるヘッドフォン/イヤフォンとのカラーコーディネートは悩ましいので、やっぱり無難な色のカラバリもあったらいいと思う。専用ケースでカバーするという手もある。

10バンドイコライザーを採用する

 上位機種にあってAK70にはない機能は、高精度なフェムトクロックのほか光デジタル出力など。「AK300」などが採用する緻密なカスタマイズに対応するパラメトリックイコライザーは本機には搭載されておらず、10バンドイコライザーになる。AK300系のラインアップに対応する専用のヘッドフォンアンプ、「AK Recorder」と組み合わせることはできないが、「AK CD Ripper」には対応している。

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