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“圧倒的コスパ”を目指す新興オーディオブランド「カンピーノ オーディオ」の挑戦(2/2 ページ)

» 2016年08月16日 06時00分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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リモコンはやめて4N OFCを採用した

 一方のイヤフォンも壺をモチーフにしたというハウジングはアルミ削り出し。曲線を多用したデザインは、同時に不要な振動とノイズを抑える役目を果たす。8mm径のダイナミック型ドライバーは、チタンコート振動板にボイスコイルを直結して伝達ロスとノイズを抑えたというもので、5〜4万5000Hzのワイドレンジ再生を可能にした。

アルミ削り出しのハウジングにダイナミックドライバー1発という構成。ケーブルは表面に筋をいれて絡みにくくしたセレーションケーブルを採用している

 面白いのは、「スマートフォン周りに注力していく」という方針にも関わらず、スマートフォン用のリモコンマイクを付けていないことだ。「音質面を考え、リモコンにかけるコストを4N OFCケーブルにかけました」と2人は笑う。

ブランドマークも控えめ

 4N OFCとは、99.99%以上の純度を持つ無酸素銅を使用した導体のことで、さらにケーブル内は最近流行の4芯独立タイプとなっている。プラグは通常のシングルエンドのためバランス接続には非対応だが、左右のグラウンドを根本で一緒にしてしまう従来型に比べると左右のセパレーションに優れる。いずれも製品の価格帯を考えればぜいたくな装備だ。

カラーバリエーションは4種

 中間マージンの発生する店舗販売は基本的に行わない。一方で製品の本質的な部分を左右する部材にはコストをかけ、同時にデザイン性も高いレベルに引き上げる。これがcampino audio流のコストパフォーマンスアップ術だった。

Bluetoothスピーカーとイヤフォンのパッケージ。イヤフォンの方は、Amazonの緩衝材付き封筒に収まるサイズにした

 もう1つ、同社の姿勢の端的に表現しているものがある。それは製品のパッケージ。しゃれたデザインに仕上げているものの、よく見るとどちらの製品も過剰な装飾が一切ない質素な段ボール製であることが分かる。さらにイヤフォンの方は、Amazonの緩衝材付き封筒に収まるサイズにまとめ、発送時のコストも抑えた。過剰包装や開けにくいブリスターパックにイライラしたことのあるユーザーにとってもうれしい配慮かもしれない。

課題は試聴の場

 製品にコストをかけることで支援者やユーザーから一定の評価を得たcampino audioだが、目下の悩みは消費者が実際の製品を手にする機会がほとんどないことだ。「将来的には店舗販売も検討してはいきたい。しかし、中間マージンを削ってユーザーに還元しているところもあるため、そのポリシーが理解されるかは分からない」。現在、campino audio製品を扱っている店舗は「利益よりも音楽好きの人に楽しんでもらいたい、という考えの楽器店のみ」だという。

 「もともと限界の価格で製品を提示して消費者に判断してもらうビジネスモデルなので価格競争もできません。しかし、“試聴の場”は必要です。イベントへの参加などを含め、これから課題として取り組んでいきます」(同社)

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