MaSSCは、高い溶射技術を持つフジコーが開発した新しい光触媒技術だ。坂口氏によると、「他社製品でも空気清浄機などに光触媒を使っている例はありますが、MaSSCは(触媒の)密度が全く違います。一般の光触媒は基材に塗布あるいはスプレーのような形で吹き付けて作られますが、そうすると触媒がまばらで密度が低くなってしまいます。対してMaSSCは、熱で溶かしてぶつけるような形(=溶射)。すごく圧縮され、密度の高い光触媒になります」
さらに強力な紫外線(波長365nm)を組み合わせて高い殺菌・消臭能力を実現した。「一般的な光触媒技術では405nm前後ですが、紫外線としては弱いです。V1が採用した365nmの波長は、皮膚に浴びると悪影響を及ぼすレベルの強いもの。医療分野で使われる除菌・脱臭装置に近い性能を持っています」。事実、MaSSC技術は宇宙ステーションや病院の手術室などでも脱臭のために使用されているという。
「一般的な空気清浄機は空気中のホコリを除去することを主目的にしていますが、V1は“臭い”や“浮遊菌の除去”に特化しているので、(ホコリをキャッチする)集じんフィルターは搭載していません」。V1は電気工業会(JEMA)の基準と異なるため、「空気清浄機」として販売することはできない。「エアクリーナー」という呼び方をしているのはこのためだ。
「購入した方は、子どものアトピー性皮膚炎対策や花粉症に悩んでいる方が多いようですね。日本アトピー協会からの推薦をもらっているので、皮膚の弱い方へのアプローチはできていると思います」。なお、医療機器レベルの強力な除菌・脱臭機能を持つV1は、仮に動作中に分解されたりすると危険だ。このため、修理やメンテナンスはメーカー対応が前提で、製品には3年の保証期間が付いている(要ユーザー登録)。
5月に発売した「A1」のほうは、一般的な「空気清浄機」として開発されたものだ。丸みを帯びて柔らかい印象を与えるV1に対し、A1は六角形とテイストは異なる。しかし、アルミの素材感を生かしたミニマルなデザインは共通だ。一般的なプラスチック製の空気清浄機とは一線を画す高い質感を持っている。
アルミ筐体(きょうたい)の採用については、「あえてマイノリティーを狙った」という坂口氏。「例えばデザイン家具と呼ばれるものには、何十年も売れ続けているロングセラー商品があります。家電は、いわば『電気が通ってる家具』。アルミならではの質感と良さがあり、そこに付加価値を感じてくれる人がいればいいと思います」
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