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きっかけは奥さんの一言、クローゼット型のホームクリーニング機「LG styler」誕生秘話滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/3 ページ)

» 2017年01月30日 15時23分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

 「まず、下部にある水タンク内の水を100℃にまで上昇させ蒸気に変えます。コンプレッサーで気流を生み出し、90℃程度の蒸気を庫内に充満させ、内部にある洋服を湿らせます。さらに洋服の掛かったハンガーを毎分最大で180回ほど揺らすことで、付着したチリやホコリを落とすとともに、シワなどをとります。その後、ヒートポンプによって40℃程度の温度の低い気流を起こし、洋服から汚れた水分を落とします」。汚れた水は下部の汚水タンクに溜まる仕組みだ。

庫内下右奥にスチームが出るダクトがある。そこから100℃のスチームが出て、庫内には約90℃ほどで充満する。気流の方向は奥から上部へと上がり、そのまま扉方面へと向かって、最終的に下がってくる
向かって右側のタンクにはスチームの元となる水を入れる。左側のタンクには汚れが混じった水が溜まっていく仕組み

 洋服を揺らすのはシワをとるため。原始的な洗濯物の乾かし方から着想したという。「洗濯物をパンパンと叩いてから干すと、シワがのびますよね。あのやり方を応用しました。左右に揺らすことで繊維が細かい部分まで伸びると同時に、繊維糸が立ち、乾燥した際にふわっとした触り心地になります」

洗濯物を乾かす際、シワがつかないように繊維を伸ばすが、ハンガーを振動させることで同じ効果を狙った【Tig.】Tokyo image groups / PIXTA(ピクスタ)

 開発開始から約5年。2011年に韓国で発売された初代「LG styler」は大ヒットを記録した。翌年の「CES 2012」など海外の展示会にも積極的に出品。米国や中国などでも販売が開始された。

2012年、CESに初代LG stylerが展示されたときの様子

 だが、購入したユーザーすべてが満足したわけではない。例えば、大型冷蔵庫並みのサイズでは購入できる家庭が限られてしまう。またユーザーからは「扉にかけたズボンのシワがとれるのはいいが、必要な折り目までなくなってしまう」といった声もあった。

韓国などで販売された初代モデル。日本で販売する新製品に比べて幅は1.5倍ほどあった

 「開発陣はまず、サイズを小さくすることに注力しました。その結果、ハンガーに掛けられるジャケットの枚数は5着から3着に減りましたが、一般的な住宅にも置きやすいサイズ感になりました。また、ズボンプレッサー的なアタッチメントを新たに開発し、必要な折り目はそのままに、シワだけをきれいに取れるように進化しています」

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