――ここまでビジュアル系の話が続きましたが、オーディオ系の話題はどうでしたか?
麻倉氏:オーディオに関してはやはりMQAです。これまでは2LやUNAMASといったマイナーレーベルがメインでしたが、2016年にワーナーミュージックグループが契約をしたのを皮切りに、年末までにソニーミュージックとユニバーサルミュージックが採用に関わる契約を交わし、音楽業界の3大メジャーがそろい踏みとなりました。初出から2年、ついにメジャーレーベル制覇です。配信では「TIDAL」のMQA配信が1月5日からスタートしており、ハードメーカーとしてはテクニクスがサポートを表明したのが大きいです。おそらくソニーも時間の問題でしょう。
これでMQAを軸にしたソフトとハードが整いました。いよいよ今年、本格的にMQAがくるかと期待されます。ストリーミングだけではなく「HD Tracks」もダウンロード配信を開始するようで、音源の入手も容易になります。
環境としてハイレゾの中にMQAが大きな役割を占めていて、フォーマットでいうとこれまではリニアPCMかDSDかでしたが、MQAはフォーマットというよりも環境です。エンコード・デリバリー・デコードというエコシステムでの展開が、今年からいよいよ積極的になるというのが大きいです。
麻倉氏:もう1つ、Auro3Dも見逃せません。これまで日本メーカーの動きはなかったのですが、今年はいよいよAVレシーバーを手がけるデノン、ヤマハ、パイオニアといったメジャーどころが、対応アンプをリリースする方向で動き出しました。Auro3Dそれ自体も大発展しており、映画でいうと全世界で650スクリーンが、製作では40スタジオが、作品数では202タイトルが対応しています。音楽で言うと400タイトルが収録を終えており、Blu-ray Discでは既に50タイトル以上がリリース済みです。
――Auro3Dの機材に関しては、たしかTRINNOV AUDIO(トリノフオーディオ)のプロ機材くらいしか対応製品がなかったので、これは歓迎すべきニュースです。
麻倉氏:特筆すべきはイマーシブサラウンド(オブジェクトオーディオのサラウンドフォーマット)で唯一、192kHzに対応するということです。同じイマーシブサラウンドでも、ドルビーアトモスとDTS:Xは実質48kHzまでです。
――映画が出自のアトモスやDTS:Xに対して、Auro3Dは音楽との親和性が高いフォーマットですね。ソフトに関しても音楽系のものが多いです。
麻倉氏:加えてAVレシーバー以外に、車載、ゲーム、スマホでもAuro3Dを展開するという新しい動きも見えてきています。MQAは今のところ従来的なチャンネルベースに徹していますが、こちらはオブジェクト音声のイマーシブサラウンド。どちらも今年に入って新しいオーディオが新しい展開をしていくという期待を膨らませてくれます。
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