地デジまで変わった! “自発光”を手に入れた東芝レグザ「X910」の実力(2/2 ページ)

» 2017年03月10日 10時00分 公開
[本田雅一PR/ITmedia]
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何気ない地デジの映像がスッキリきれい

 もっとも、世の中の映像はいまだにフルHDのSDRが中心である。数年後もおそらく放送はフルHDが中心だろう。日本では地デジの映像がきれいに見えることも必須の要件だといえる。また映画好きの方でも、NHK BSプレミアムやWOWOWの放送をコレクションして見ることが多いという人は多いのではないだろうか。

 前記で画質の大きな前進を感じたというのは、主に“4Kディスプレイ”としてしっかり作り込まれているという部分だが、X910の一番の特徴は、日本市場を見すえて日本でもっともよく見られている地デジ放送も含めた高画質処理を作り込んでいる部分だ。しかも単に「地デジがキレイ」だけではなく、映像ファンに向けては「より正確なモニターとして機能する」要素も今回は付け加えられた。

 筆者がふだんリビングルームで使っているKUROには「ディレクターモード」という映像モードがある。これはさまざまな高画質化処理は行うものの、色再現に関しては“画作り”を行わず、マスターモニターに近い“標準の映像”を表示するモードだ。映画監督や撮影監督が、ラッシュ映像などを確認できるよう意識して作られた映像モードで、真っ暗な室内で使用すると、制作者自身が意図した映像にもっとも近い状態で作品を楽しめる。

 X910ではオンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社の許可を得た上で、このディレクターモードと同じ機能性を持つ映像モードが加えられている(もちろん『映画プロ』などの東芝が画作りしたモードも別途存在する)。一般的なBlu-ray Disc™ソフトや放送波の映画などは、このモードを用いて部屋の灯りを落とせば、かなりマニアックな楽しみ方ができる。

映像モードに「ディレクターモード」が追加された。モニターライクな映像モードとしては「モニターPCモード」もあるが、ディレクターモードは3次元処理を強制的にオンにして、さらに画質調整まで行えるのがメリット

 だが、本機の本領をもっとも感じさせるのは何気ない地デジの映像だ。

 絵柄の構造を認識した上で、適切なノイズリダクションをかけるX910の映像エンジンは、現世代の映像処理LSIの中でも非常に優れた性能を発揮してくれる。同じく絵柄構造認識した上で超解像処理を行う部分と合わせ、ディテールが細かく明らかに“エンハンス”されて明瞭さが増しているのに(本来はノイズだらけの)地デジ映像でS/N感を悪化させず、むしろスッキリとした映像になる。

 テレビの買い替えを検討している方々は、筆者が使うKUROだけではなく10年近く前のテレビをお使いの方が多いのではないだろうか。“地デジがスッキリキレイに見える”のは古い機種と見比べると明らかで、並べれば一目で分かるほどの変化である。

映画好きにうれしいボーナスも

 さらに録画して見る番組が映画という人には、うれしいボーナスがある。映像ソースが毎秒24フレームの映画と判別された場合、X910は「熟成超解像」という技術で、フルHDの映像を4Kにアップコンバートするのだ。

 4K映像を毎秒60枚の映像を処理できる映像処理LSIの能力をフルに生かし、一度、フルHD映像に対してノイズ処理と超解像をかけ、できあがった4K映像に対して今度は4K映像の帯域でノイズ処理と超解像処理をかける。つまり、異なるパラメータで2回、ノイズ処理を含む超解像をかけるのだ。

熟成超解像の動作イメージ。異なるパラメータで2回、ノイズ処理を含む超解像をかけることでフルHDの映像を自然な4K映像にアップコンバートする

 BS放送の映画を見るとその効果は明らかで、岩肌や森、金属の外装など、さまざまな部分でテクスチャーが明瞭となり、情報量が増えて見える。わざとらしいシャープネスなどではなく、S/Nを改善しながらのためエクスキューズなく“画質がいい”といえる処理になっている。放送波は画質が低いため、より目立って高画質処理の良さが分かる、もちろん、24フレームの映像ならばどの作品でも成果が得られるのでBlu-ray Disc™ソフトでも同様の効果は得られる。

 そして映画好きには、さらにもう1つボーナスがある。それが「AI機械学習HDR復元」だ。「HDR復元」は従来のレグザにも搭載されていたが、「AI機械学習HDR復元」では、発売されているHDR対応映画ソフトとSDR版の映像(通常のBlu-ray Disc™など)の間にある差分を機械学習させ、HDR復元の精度を高めている。

「AI機械学習HDR復元」の動作イメージ

 この機能が実に的確に働いてくれるため、放送でもBlu-ray Disc™ソフトでも、映画であればHDR的な映像を楽しめる。単に明るい部分が輝くといったことではなく、白飛びして色が薄くなっているような部分にも色が乗り、ネオンサインなどが鮮やかに表示されるなど、本当にHDRで撮影されたかのような効果が得られる。

 映画ファンでも「監督の意思のままに」と思うならばディレクターモード、「より鮮度感の高い映像で」と思うならばAI機械学習HDR復元をオンにして映画プロモードで見る、あるいは作品ごとに使い分けるといい。

HDMI入力は背面に2端子(うち1つがARC対応)、側面に2端子を装備
付属のリモコン。Netflixダイレクトボタンをはじめ、全録の「タイムシフトマシン」操作ボタンなどを装備。家族で毎日使うテレビとしての機能が網羅されている

 さて、主に画質に関して触れてきたが、本機は有機ELの弱点を克服したうえで、さらに色や階調表現の再現性をストイックに突きつめた“ディスプレイ”としても、日本の放送環境を意識したうえで“画質改善技術”を突きつめた“テレビ”としても、長足の進歩を遂げた製品に仕上がっていた。

 加えて、レグザ伝統のタイムシフトマシン・自動録画・検索機能や見やすいEPG表示など、従来からある利便性は一切損なわれていない。テレビのハイエンド製品は機能を絞り込んで画質を追い込んだディスプレイ型商品が少なくないが、家族で毎日使うテレビとしてもケアされていることを最後に付け加えておきたい。

 長い間、まったく浮気をしたいとは思わなかったわが家のプラズマテレビだが、そろそろ代替わりを検討しなければならないかもしれない。自宅での視聴だけに、その違い、進歩の大きさに改めて驚かされたレビューの機会だった。

「KURO」開発者も“自発光レグザ”に太鼓判

 2007年に登場し、高画質テレビとしてAVファンの心を捉えたパイオニアのプラズマテレビ「KURO」。10年の時を経て同じ自発光タイプの有機ELを手がけるにあたり、東芝の技術者たちは「KURO」を意識した。

 X910では、記事本編で触れた「ディレクターモード」の搭載にくわえ、各映像モードの評価などさまざまな点でオンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社と協力。現在、液晶テレビレグザの公式サイトには「KURO」の開発者だったオンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社、事業開発部の西尾正昭氏と、レグザの画作りを担当する東芝デベロップメントエンジニアリングのTV映像マイスタ、住吉肇氏のスペシャル対談が掲載されている。

オンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社、事業開発部の西尾正昭氏と、レグザの画作りを担当する東芝デベロップメントエンジニアリングのTV映像マイスタ、住吉肇氏のスペシャル対談

 西尾氏は、有機ELの特性を生かし、その実力をいかんなく発揮させた東芝の映像信号処理技術を高く評価。「X910シリーズの素晴らしい高画質に太鼓判を押したいと思います」(西尾氏)と話している。初の“自発光レグザ”は、かつての高画質テレビ開発者の心をもつかんだようだ。

※4K有機ELレグザの画素数は3840×2160です。


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2017年3月16日