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“壁に貼る”有機ELテレビの衝撃――LGエレ「W7P」をソニー製モニターと比較試聴した山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)

» 2017年04月16日 11時00分 公開
[山本浩司ITmedia]
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 取り付けは専門業者による設置工事が原則。3.9mmという薄さの65V型大画面なので、設置時には2人掛かりで両サイドを保持しないと、たわんでしまうという。

真横から見るとこの通り

 まず取り付け用プレートをネジで壁に固定し、その上部2カ所に引っかけるようにして、質量7.6kgのディスプレイ本体を据えつける。その後、本体背面の6カ所に仕込まれたマグネットに固定するように、パネル前面から本体を押すことで「カチッ」と音がして設置完了となる。

 ヘッドユニットとの接続は、極薄のフラットケーブル1本のみ。このケーブルで電源を供給し、映像・音声制御信号を伝送するわけだ(0.5mと1.5mのケーブル2本が付属)。

 音声面で興味深いのが、W7P/E7P/C7Pの3シリーズともに最新の3Dオーディオ規格であるDolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応していること。サウンドバーのような外観の65W7Pのトップパネル上部の左右には、そのDolby Atmos用スピーカーが仕込まれていて、電源を入れると、スピーカーが自動的に立ち上がってくる仕組み。電源をオフにすると、そのスピーカーはヘッドユニット内に格納され、スライドするフタによって完全に隠される。その動作はじつにスムーズで、アウディの最高級車「A8」に仕込まれたバング&オルフセン製のカーオーディオ用スピーカーのような優雅さがある。

スイッチオンでせり上がってくるスピーカー

 このスピーカーは斜め上に音が放射される設計で、天井で反射させるイネーブルドスピーカーの役割とは異なることに注意したい。

 実際にその音を体験してみたが、音場がうまい具合に立体的に構築され、3Dオーディオ規格のDolby Atmosらしい臨場感が味わえた。また斜め上に音を放射する特性によって、スピーカーを格納したヘッドユニットが、ディスプレイの真下に設置されているにもかかわらず、音像と映像が乖離した印象が薄まる副次的なメリットがあると実感させられた。

 もっとも、そうはいってもディスプレイとヘッドユニットが離れすぎては音像と映像の乖離(かいり)感は強くなるので、両者を結ぶケーブルは1.5mよりは0.5mを選びたい。

 さて順番が後先になってしまったが、最後に実際に観た65W7Pの画質インプレッションを述べよう。

 完全暗室を実現した視聴室で、ソニーの55V型有機ELモニター「PVM-X550」と比較しながらその映像を観たが、昨年の「65E6P」から着実に画質が進歩していることが実感できた。

 通常のSDRコンテンツであるBlu-ray Discは「シネマ2」モードで、HDRコンテンツのUHD BDは「シネマダーク」モードで観たが、それぞれPVM-X550とたいへんよく似た画調で、じつに味わい深い。「レヴェナント〜蘇えりし者」の白銀の世界の描写などは、白ピークがより伸びた本機のほうがPVM-X550よりもいっそう生々しく感じさせるくらいなのである。

 じっくり見ていくと、平均輝度レベル(APL)の低い場面でノイズがやや目立つが、これは55V型に対して65V型と画面サイズが大きいことがその要因だろう。

 また、65E6Pはペデスタル(最暗部)からの立ち上がりが急峻(きゅうしゅん)で、黒の引き込みが早い印象があったが、65W7Pはそこが大きく改善されている。ローライトの階調表現が著しく向上している印象なのである。

 この画質細部の追い込みは、LGエレクトロニクス・ジャパンラボの研究成果がこれまで以上に反映されているとのことで、そこは日本のAVファンとしてとても誇らしい。

 壁に貼るという未体験の“Picture on Wall”を実現した65W7Pは、まさに有機ELならではの画質とデザインを高度に両立させた製品と評価できるが、日本に先行して発売された北米・欧州などで大ヒットを記録していて製造が間に合わないとのこと。日本での発売は当初4月上旬とアナウンスされていたが、そんな事情もあり、予約が4月13日から、発売は5月上旬に変更されている。

 一方、今年のラインアップは3シリーズで基本画質に変わりがないという点に着目すれば、自立スタンド・タイプの「C7P」がたいへんお買い得ということになる。音のよい外部スピーカーと組み合わせて、自発光ディスプレイならではの画質のよさをいっそう引き立てたいという方には、とくにお勧めだ。

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