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4K HDRプロジェクターの最前線! 「4K olmpAc」報告麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(2/5 ページ)

» 2017年08月05日 06時00分 公開
[天野透ITmedia]

麻倉氏:考えてみると、業界向けではあれど、最先端の最良テクノロジーやノウハウ、リソースなどを結集できた結果成功した、チャレンジングな試みです。来場者と知識共有しつつ、コラボレーションの力を発揮して最大のイベント効果を得ることができたのではないでしょうか。

HDR用高階調スクリーンの技術概要。OSスクリーンでは、拡散型スクリーンの10倍のコントラストを発揮するものを「HDRスクリーン」としている
HDMIケーブルはエイム電子の光ケーブルを採用。全品検査など、ケーブル選びの際のアドバイスも披露

麻倉氏:前置きが随分と長くなりましたが、ここからはいよいよコンテンツの話をしましょう。まずは杉山学長が大学で4K/60p対応の「GH5」を使った、マルチカム収録とリアルタイムネット配信のパリコレ映像のデモです。学長も指摘していましたが、ファッションはファブリックのテクスチャーや質感が極めて重要で、ファッションデザイナーは常に素材の質感に新たな表現の可能性を求めています。しかしこれまでの2K SDRでは、そういったファッションデザインの本質的な部分が出ませんでした。これがHDRになると、布や色のよりリアルな質感、全体の雰囲気が分かるようになります。ファッションショーは4K HDRと親和性が高いのです。

 撮影は60pで速い動きにもバッチリ対応しており、4Kが持っている質感表現力がとても良く出ています。モデルの動きというのはかなり速く、動きを捉えきれないと動きボケが出てしまってせっかくの高解像度が台無しになります。そういう意味で今回の60p収録にはフレームレートの重要性を感じました。

――ファッションを映像で伝えるというのは、想像よりもずっと難しい事です。特にパリやミラノなどのコレクションでは、ほんの些細と思われるところに新たな価値が生まれますが、そこを伝えきれるか否かで映像の価値は大きく変わります

杉山学長が披露した、パリコレクションの4K 60p映像。このランウェイのテーマは黒で、ファッション的な観点としては布の質感をいかに表現しきるかが大きなポイント。4K HDRならばこういった被写体に対しても、コントラストや光の当たり方などで感性に訴えかける映像表現をする

麻倉氏:私の講演では、数回前のデジタル閻魔帳でも取り上げた「mip tv」の最新動向(関連記事1関連記事2)に関する写真を交えた報告で、なかなか伝わってこない欧州の4K動向を日本の技術者に伝えました。内容に関しては該当記事を参照してください。

 そのあとに続いたのが今回の本題「4Kホームシアター スクリーン ケーブルの技術特性」です。エプソン、JVC、ソニーの各フラッグシッププロジェクター、OSのスクリーン、エイムのケーブルを使った、可能な限り最高のプロジェクター比較視聴です。エプソン「EH-LS10500」は「LS10000」の改良版で、画素ずらしによる同社初の4Kモデルとなりました。ソニー・JVCはDCI規格のリアル4Kで、いずれも反射型液晶デバイス使っています。「DLA-Z1」は私のリファレンスになったことも報告済みですね。「PVL-VW5000」もソニーのフラッグシップ、ブランドを象徴する絵です。価格からすると80万円、350万円、800万円で、すごい価格差をひとところに並べるのもどうかと思いましたが、4K HDRは今この3台が代表的なので比較をしてみました。

 「ライブ画質チェック」は課題の映像を同時放映し、要素の1つ1つについて感じたことを即興で述べるものです。直感的・反射神経的に、即興演奏のような分析をやってきました。自分で言うのも何ですが、シュートアウトは結構な売り物なんですよ。そのシュートアウト、これまでは液晶なので視野角があり、ディスプレイに集まってもらってかぶりつきで見ていました。場所によっては地べた座りです。それが今回は設定もしっかりした大画面なので、お客さんは動く必要なしでした。

――過去の様子の画像を見せてもらいましたが、まるで友人の家に大人数で集まってテレビゲームをやっているようでした。ゲーム世代の僕としては何とも言えない懐かしさを感じます

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