IFAでは地元ヨーロッパのブランドであるBOSCH(ボッシュ)、Siemens(シーメンス)、Mile(ミーレ)、Philips(フィリップス)、そしてヨーロッパでも強いSamsung(サムスン)、LG electronicsの最新スマート家電が一望できた。各社ともに一昨年、昨年ごろからインターネットにつながるスマート家電をプレミアムクラスの製品として発表してきたが、今年はついにコンセプトではなく商品が出そろった格好だ。
スマートスピーカーによる音声操作のデモンストレーションについては、ボッシュとシーメンス、ミーレがブースで実演していた。いずれのメーカーもモバイルアプリを使えばもうだいぶ快適にスマート家電の機能をコントロールできるのだが、そこから音声コントロールとフィットするいくつかの機能を先に切り出して、徐々に扱える機能の範疇を広げていく戦略だ。
例えばボッシュのオーブンは、モバイルアプリ「Home Connect」からであればクラウドにあるレシピを選択、読み込んで、調理するメニューに合わせて最適な火加減をコントロールするなど、多くの機能を直感的に操作できるが、Alexa対応のスマートスピーカーからは本体電源のオン/オフと温度調節までが守備範囲になるようだ。
それぞれのインタフェースでできることがオーバーラップしていたり、扱える機能に違いがあると、どこか使いにくく感じるかもしれない。そこでサムスンの場合は自社で開発する音声対応のAIアシスタント「Bixby」(ビグスビー)を中心に置いて、スマホアプリ「Samsung Connect」を使えば画面タッチとボイスコントロールの両方で同じ操作ができる快適なインタフェースをアピールしていた。しかも同社のスマート冷蔵庫「Family Hub」シリーズは、2017年の11月を目標にBixbyによる音声操作にも対応させる。
異なるメーカー同士のスマート家電のコネクティビティーについては、ボッシュの家電部門のグループ会社であるB/S/Hが「Home Connect」を、LGエレクトロニクスも「SmartThinQ」という独自のプラットフォームを作って、各々にパートナーを広げてきた。
ところが2016年にアメリカでスマート&IoT家電の普及を目的に立ち上がった業界団体「オープン・コネクティビティー・ファンデーション」(OCF)が設立されてからは、OCFの規格にも準拠しながら他社製品とのコネクティビティーを確保する姿勢をサムスンやLGエレクトロニクスが打ち出している。1つの家庭にさまざまなブランドのスマート家電が混在することは当然考えられるので、Alexaを初めとするスマートスピーカーのプラットフォームが横串を挿すかたちでスマート家電をつないでいくことになるのか。今後各社の対応に注目したい。
IFAにスマート家電を出展した各社は、今後スマート家電のAIに一段と磨きをかけていく準備を進めている。例えばスマート冷蔵庫の場合、現在は扉の内側と外側にカメラを搭載して、扉を開閉するたびに写真を撮影、クラウドサーバに保存された画像をアプリで見ながら、ユーザーが買い足すべき食材をチェックできる機能を搭載している。現在は写真を見てユーザーが自分でショッピングリストを作成しなければならないが、例えばボッシュの場合、食材が消費されるスピードを冷蔵庫が解析して、食生活のバランスが偏らないように指導をしてくれたり、足りなくなってきた食材を自動でリストアップして買い足すようにアラートを飛ばす機能などの追加を考えているという。必要な食材があればAmazonなどのショッピングサイトですぐに買い足せるサービスとの連携も視野に入っているそうだ。
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