ただ、普通のテレビ番組だと本機のもう1つの魅力であるバイブレーションを体で感じてエキサイトする機会はそう頻繁には訪れない。そこでPSPと、スピーカーのパッケージに同梱されているUSB-アナログオーディオ変換ケーブルを使って接続してバトルゲームをプレイしてみた。ボタンをクリックして設定を中、または強にすると振動がガンガン伝わってくる! これは刺激的だ。
サウンドが充実するだけで、ふだん遊んでいるゲームの迫力が何倍にも増して感じられる。最近はスマホやタブレットでゲームを楽しむ機会も増えているので、有線接続だけでなくBluetoothでもモバイル端末とワイヤレス接続ができればもっとうれしかった。筆者が本機に不満を感じる点があるとすれば、1つはこれ。もう1つはキッチンなど水場でも安心して使えるように防水仕様になってほしいと思った。
実はこの肩乗せタイプのウェアラブルスピーカーは、いまソニーだけでなく海外のオーディオブランドが次々と参戦して、にわかに注目を集めはじめているのだ。JBLは今年1月に開催されたCESに続いて、9月にIFAでも首掛けタイプの「JBL Soundgear」を展示。体験ブースが熱く盛り上がっていた。ボーズも先日米国で新製品「SoundWear Companion speaker」を発表したばかりである。
ちなみにJBL、ボーズのスピーカーはともにBluetoothでスマホにペアリングして、オーディオコンテンツの再生だけでなく内蔵マイクでハンズフリー通話にも使える。世間ではAIアシスタントを搭載して音声コマンドで操作できる「スマートスピーカー」がブレイク寸前と言われているが、このウェアラブルスピーカーはAIアシスタントとの相性が実はとても良く、新しいスマートスピーカーの原型にもなり得るのではないだろうか?
AIアシスタントを搭載する据え置き型のスマートスピーカーは、見通しのよい環境なら10mぐらい離れていてもユーザーのボイスコマンドを正しく認識するとされているが、デバイスとの距離が近いほどユーザーは声を張り上げる必要がないだろうし、コマンドの認識精度も高まるように思う。
このスタイルをさらに進化させるなら、AIアシスタントとスピーカーを耳の中に入れてしまえばよいということにもなりそうだが、ヘッドフォンやイヤフォンは遮音性が高すぎるので、キッチンでお湯が沸いた時などに反応が鈍くなるのが心配だ。ハウジングがオープン型のイヤフォンまたはヘッドフォンが理想型と考えるなら、ソニーモバイルが開発を進めている「Xperia Open-style CONCEPT」がそれに一番近い製品になるかもしれない。IFA2017では本体のデザインやソフトウェアの完成度がさらに上がっていたので、正式に商品としてアナウンスされる日が待ち遠しいくなってきた。本機はLINEのAIアシスタント「Clova」(クローバ)との連携についてもパートナー展開が検討されているみたいなので、これからの展開も追いかけたい。
話題を元に戻そう。今回取材したソニーのウェアラブルネックスピーカー「SRS-WS1」は、キッチンでのコンテンツ視聴や、ゲームに映画などテレビで楽しむエンターテインメント体験の品質を手軽に向上してくれる即戦力として、活躍を期待していい注目製品だ。そして近い将来には本機の技術をベースにした革新的なスマートスピーカーも現れるような気がしてならない。
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