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今、何ができる? 「東京モーターショー2017」で見たコネクテッドカーの最先端(2/4 ページ)

» 2017年10月27日 13時57分 公開
[山本敦ITmedia]

海外の自動車メーカーが日本で展開するコネクテッドサービス

 先に今年の東京モーターショーでコネクテッドサービスにも力を入れている、いくつかの海外自動車メーカーの取り組みから紹介したい。まずはメルセデス・ベンツから。

今年の8月に日本上陸したメルセデス・ベンツのコネクテッドサービス「Mercedes me Connect」

 同社は欧州で先行するコネクテッドカー向けのサービス「Mercedes me Connect」を、いよいよ8月に日本国内へ投入した。現在国内で販売する車種ではCクラス、GLCクラス、Eクラス、Sクラスの各モデルが対応する。

ベンツのS/E/GLC/C各クラスのモデルがMercedes me Connect対応になる

 「安心・安全」「快適」を柱にしたサービスと、スマホで操作しながら自動車を駐車できるというユニークな「リモートパーキングアシスト」のそれぞれが同社らしい特徴だ。安心・安全系のサービスは自動車にSIMを内蔵して常時ネットワーク通信ができる環境を整えて提供する。エアバッグが開いた時など、万が一の事故の際には緊急通話が自動的に専用のコールセンターにかかる仕組みなどが搭載されている。同様の機能は、もし事故の際にドライバーが意識を喪失している場合の人命救助にも高い効果があることから、いま欧州の安全性試験機関でもこれを推奨する動きが強まっているようだ。

スマホアプリからドアロック、タイヤの空気圧などがチェックできる

 快適なドライビングを支える機能は、車の現在位置情報、ガソリンの残量通知、ドアの自動ロックなどがスマホアプリ「Mercedes me」から確認できるという内容だ。現在位置情報が何の役に立つのかと一瞬思ってしまうが、広大なパーキングにマイカーを止めて場所が分からなくなってしまった時などに便利と、同様のサービスを提供する自動車メーカーはアピールしている。これが欧州で同じコネクテッドカー系のイベントを取材すると、「盗難を防止するため」という明快な答えが返ってくる。このあたりは文化の違いによるものかもしれないが、もちろんそういった予期せぬ自体にも対処できる機能だ。

 「リモートパーキングアシスト」は、車を離れてスマホだけで駐車操作ができるというとても興味深いサービスだが、残念ながら東京モーターショーの会場ではそのデモが行われていなかった。東京六本木のショールーム「Mercedes me Tokyo」で体験できるようなので、機会をあらためてどんなものなのか見に行きたいと思う。同社のサイトで動画も公開されているので、こちらも合わせて参考にしてほしい。

 メルセデス・ベンツの場合、専用通信機がLTE対応を実現しており、新車の購入後3年間は無料で使うことができる。サービスの延長利用については、今後オンラインショップなどで申し込みを受付けたり、反響をみながら対応を決めていくという。同社のスタッフはメーカーとして今後も「Mercedes me Connect」の対応車種を積極的に増やしていく考えであると語っていた。

BMWの「ConnectedDrive」

 BMWは国内でも数年前から独自のテレマティクスサービス「BMWコネクテッド・ドライブ」をオーナー向けに提供してきたメーカーだ。現在国内で販売するモデルについてはほぼ全てがこれに対応しているという。車にSIMによる通信機能を組み込んだ専用通信機をインストールして利用する。無料の「スタンダードサービス」が無期限で使えるのが特徴だが、サービスのメニューは緊急通話発信と、車両のメンテナンス、故障サポートを目的としたBMWテレサービスまでの範囲に限られる。3年契約のオプションサービス「プレミアム」を申し込むとオペレーターによる目的地検索、車両検索などのリモートサービスやニュース・天気予報などのオンラインサービス、車内でSNSの投稿などがチェックできる専用アプリ「BMW Connected」が別途有料で利用可能になる。

エマージェンシーコールのサービスはスタンダードメニューとして無料で提供されている
BMWが日本国内で販売するほぼすべての車種がコネクデッド・ドライブ対応になる

 同社のサービスは通信規格が3G止まりという点がやや気になった。同社のスタッフに聞くと、提供されているサービスのメニューが3G通信でも十分にパフォーマンスが発揮できるからという理由らしいが、日本国内では大手キャリアが最新のiPhoneを3G非対応にしたり、スマホ向けの3Gサービスを徐々にシュリンクさせる方向にあるので、海外メーカーも日本市場への対応についてはアップデートが必要な時期が訪れているということなのかもしれない。

フォルクスワーゲンの「Car-Net」はスマホやスマートウォッチと連携するナビゲーションシステムを活用するパターン

 フォルクスワーゲンはスマホの通信機能を使うAppleのCarPlay、GoogleのAndroid Autoなどのコネクテッドカー向けサービスとの連携を軸に据えている。「Car-Net」という名称で提供するプラットロームの中の「App Connect」では、Wi-Fi機能を内蔵するカーナビゲーションシステムをスマホでテザリングしながらテレマティクスサービスを利用する。フォルクスワーゲン純正のナビゲーション「Coposition Media」、または「Discover Pro」を装備するモデルで利用できるようだ。スマホだけでなく、それぞれのOSに対応するスマートウォッチにも連動している。またこれとは別にEV/プラグインハイブリッド車向けのテレマティクスサービス「e-Remote」も用意する。

アップルのCarPlay対応のナビゲーションシステムでフォルクスワーゲンのアプリによる各種サービスが使える
スマートウォッチで車の現在位置を確認できる機能などが含まれる

 CarPlayもAndroid Autoも、それぞれのプラットフォームから対応する音楽配信やマップなどのアプリサービスを車内で利用できる。通信料金についてはスマホの契約範囲で使うという形になるので、コネクテッドカーのために通信契約を追加する手間と負担がオーナーにかからないというメリットはある。ただ、車載ナビゲーションをスマホにつないでいないときには通信が使えないため、万が一事故が発生した時の対応力が弱いことについては、同社の担当者も課題として捉えており、「将来的はオーナーに通信料金をどのようにご負担いただく形を取るべきか検討しながらサービスを充実させていきたい」とコメントしていた。

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