“ドイツヘッドフォン御三家”の最後、Sennheiser(ゼンハイザー)は10月に発表されたばかりの新機種「IE 800 S」「IE 80 S」「HD 660 S」が大型イベントに初登場。同社のラインアップの中でも極めて注目度が高い製品が、一斉にモデルチェンジした。
実売価格が12万円前後というIE 800 Sは、同社製イヤフォンのフラッグシップ機だ。先代の「IE 800」から5年ぶりのモデルチェンジで、つや消しの黒いセラミックというハウジングに、従来機から“最適化”されたという直径7mmのダイナミック型XWB(eXtra Wide Band)ドライバーを搭載。生産はドイツ本国でのハンドメイドで、パッケージには4.4mm 5極と2.5mm 4極のバランスケーブルが同梱(どうこん)される。
実売価格が4万円前後のIE 80 Sは、2008年発売の「IE 8」から続くダイナミック型のユニバーサルIEM。先代モデル「IE 80」をベースに改良が加えられ、角型のハウジングは一回り小さくなって耳のフィット感が向上した。ハウジングのパネル部には伝統の低音アジャスターも健在。イヤーチップは新たにCOMPLY製のフォームチップが付属する。
新開発ドライバーを採用したHD 660 Sは、インピーダンスが従来の半分となる150Ωに設定されている。6.3mmケーブルが付属していた初代モデル「HD 600」の時代とは違い、ポータブルプレーヤーなどでヘッドフォンを楽しむというスタイルが定着したことを受けての仕様変更だ。実売価格は5万5000円前後。
実際に聴き比べてみると、IE80 Sは音が従来機よりもさらに現代的なクッキリハッキリ系に振られていることを感じる。しかし、ブランドの特徴である低音の美しさと量感もしっかりとあり、音の質感も基本的に従来機を踏襲していた。IE800 SはIE 80 Sよりも低音と高音のキャラクターを強調しており、カリッとした印象を受ける。同社によると、これは日本向けのサウンドチューニングなのだという。
HD660 Sも他の機種と同じく、解像感を感じる現代的な音に仕上げていた。定位も向上しており、サウンドバランスとしては従来機よりもちょっと高域寄りにシフトしているというところだ。それでも独特の低音のコシと温かみは健在で、この点にブランドの一貫性を感じた。
ブースで担当者に話を聞いたところ、いずれのモデルも来場者の反応は上々で、IE 80 Sはフィット感の改善、IE 800 Sは解像感の向上がすこぶる好評だという。HD 660 Sも反応は良好だが、音質傾向が従来機から変わることから、中にはHD 650の販売終了を惜しむ声もある話していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR