新しい生活。音楽とともにはじまる。〜きちんとしたオーディオ・システムの音質

 引っ越しのその日、おとうさんはまだまだ荷物が片づいていないのに、オーストラリアからわざわざ取り寄せたという木を床板に張ったというリビングにオーディオを出してセッティングし、まだ置き場所も決めていないソファを真ん中に置くと、さっそくCDを聴きはじめた。

 だれの曲かはわからないんだけど、サックスを中心にしたボサノバっぽいステキな曲がスピーカーから流れてきた。結構な音量だけど、林に囲まれ、隣の家まで何軒分かの空き地があるここならさすがに苦情はこないだろうな。

「やっぱり音楽はきちんとしたオーディオ・システムで聴かないと! 最近のPCは結構音がいいかもしれないけど、これにはかなわないだろうなぁ」

 おとうさんはそういった。確かにこれだけのボリュームでかけても音は歪まないし、低音も効いていてカッコいい。

 その後で、わたしもソファに座って、おかあさんが大好きなスティービー・ワンダーのCDをかけてみた。CDを入れると自動的に楽曲情報が表示された(※1)。画面をみながらリモコンで操作するだけだから、なんだか使いやすかった。スピーカーから流れるスティービーの伸びやかな歌声に、いままでヘッドフォンでばかり聴いていたおとうさんがほんとうに心から満足そうな顔をしていた。

 このオーディオ、実は今回の引っ越し祝いにおとうさんの大親友のおじさんからプレゼントされたもの。なんでも最新のモデルなんだそうで、詳しいことはわからないけど、とにかくHDDが入っていて、持っているCDをどんどんためることができるみたい(※2)。いちいちCDを取り替える必要がないから、おとうさんは、

「これからいちいちCDが終わるたびに取り替えにいかなくて済むからいいな」

 だって。それにしてもおじさんが言うには、もっといろんな新しい機能があるっていうんだけど、どういうところが新しいのかな? おとうさんは「パソコンと同じネットワークのポート(※3)があったけど、ひとまずすぐに音楽が聴きたいからいいや」ってそのことはそのままにしちゃったみたい。ひょっとしたらそれが新しい機能なんじゃないかなぁ。おとうさんは全然わかってなかったみたい。

  • ※1  エニーミュージック対応オーディオ機器はGracenoteCDDB(R)対応だから、CDを入れるだけでCD情報が自動取得できる。最新楽曲情報もネットワーク経由で取得可能。
  • ※2  HDD40GB搭載。ATRAC3 66Kbpsの場合およそ2万曲が録音できる。HDDにためた音楽は、リモコンでスムーズに管理できる。HDDへの録音はCDを入れて、HDDのボタンを押し、録音ボタンを押すだけ。録音したい曲を選択して録音することもできる。
  • ※3  エニーミュージック対応オーディオ機器の本体背面にはネットワークに接続するためのEthernetポートがある。