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お父さんのための「食器洗い乾燥機」入門年越し企画(2/5 ページ)

帰省や年末年始の挨拶回りなど、人が集まることが増えるこの時期。キッチンで活躍する「食器洗い乾燥機」は、主婦の強い味方だ。ところで、最近は奥さんや母親に、この食器洗い乾燥機をプレゼントする男性が増えているらしい。

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 水をノズルから勢いよく噴き出し、食器に当てているシーンはTV CMなどでよく見かけるが、食洗機の洗浄能力を支えているのは水流だけではない。基本的には「水温の力、水流の力、洗剤の力の3つで食器を洗っています」(三洋電機ライフソリューションズカンパニー、キッチンビジネスユニット商品企画課の小林正光担当課長)。

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洗浄中の様子

 水は内蔵ヒーターで暖められ(給湯も可能)、60〜80度のお湯にして洗浄やすすぎに利用する。60度といえば、肉の油汚れなどはそれだけで溶け出す温度だ。また、いわゆる高温殺菌も行えるため、衛生上のメリットも大きい。「たとえば、病原性大腸菌のO157は60度で3分間あれば死滅します」(日立ホーム&ライフソリューション、電化事業部事業企画部キッチンソリューショングループの前川研主任)。手洗いでは使えない温度だけに、これも食洗機の大きなメリットといえる。

 一方の専用洗剤は、たんぱく質やデンプンを分解する酵素が含まれている点が特徴(“専用”の理由は下の囲み記事を参照してほしい)。今でこそ三洋電機「DW-SX4000」のように、一般的な台所用洗剤が使用できる機種(関連記事)もあるが、実はこの専用洗剤の登場が、食洗機の歴史を語る上で非常に重要なターニングポイントになったという。

 松下電器産業は、1968年に日本初の食洗機を発売したが、以来20年近く低迷していたという。「それまでの食器洗い乾燥機というのは、海外の製品そのまま。つまり、洗い物は肉の“脂汚れ”が主で、洗浄能力もそれに合わせたものでした。しかし、日本人の食生活を考えると、“ごはん汚れ”(デンプン質汚れ)や、卵などの“たんぱく質汚れ”など、しつこい汚れが多い。そこで、1986年にP&Gと酵素入りの洗剤を共同開発しました。これが食洗機が見直される契機になったんです」(同社)。

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食器洗い乾燥機専用洗剤って?

 食洗機には、酵素を含んだ専用洗剤が必要だ。酵素は、生物に関する化学反応の進行を進めたり、制御する機能を持つ“触媒”。さまざまな種類の酵素があり、それぞれ触媒する対象が決まっているため、専用洗剤には、たんぱく質とデンプンを分解する2種類の酵素を含んでいる製品が多い。

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酵素入り洗剤

 対して、一般的な台所用洗剤には「界面活性剤」が多く含まれている。界面活性剤は、水と油の両方に馴染む分子構造を持っており、水と油を「乳化」(エマルジョン)させることで、汚れを落ちやすくする。また、いわゆる“漬け置き洗い”で汚れが落ちやすくなるように、物質に浸透する作用や分散させる作用もある。特定の汚れに強い酵素に対して、油汚れを中心に幅広く使えるのが界面活性剤といえそうだ。

 メーカーに教えてもらった簡単な実験をしてみた。卵黄を二つ用意して、それぞれに台所用洗剤(中性洗剤)と食器洗い乾燥機専用洗剤をお湯に溶かしたものを少量落としてみる。中性洗剤のほうは一向に変化がないが、タンパク質を分解する酵素が入った専用洗剤のほうは、ものの数秒で黄身がやぶれてしまった。酵素が卵黄の表面(タンパク質)を分解していることがよくわかる。

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左は中性の台所用洗剤、右は食器洗い乾燥機専用洗剤。それぞれ約40度のお湯に溶かしたものを少量かけた
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ほんの数秒で卵の黄身が崩れた

 以前は入手しにくい面もあった食洗機専用洗剤だが、最近は食洗機の普及とともに扱う店舗が増え、価格的にもこなれてきた。洗剤の流通事情はコモディティ化の指標ともいえ、以前なら“贅沢品”だった食洗機が、洗濯機や冷蔵庫と同じ普通の家電になったことを示している。

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