第186回 曇天と水着とアングルの関係:今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)
回数を見て「ん?」と思った人もいるかもしれないが、1年ぶりとなったデジカメ撮影術は、13回目を迎えた海辺での水着撮影なのである。残念ながら今年は天気に恵まれなかったが、曇りなら曇りでいろいろと撮りようがあるのだ。
毎年この季節になると水着写真なわけだけど、なんと、最初は2004年。今回で13年目。継続とは恐ろしい。
最初はコンデジからのスタートだった。当時はまだデジタル一眼レフは一般的ではなかったから。
そもそもこの連載は、デジカメが急に普及したことで、デジカメを初めて手にした人に向けて、カメラ専門用語が出てこないカメラ講座を目指してスタートしたのである。
やがてデジタル一眼レフが普及し、コンデジは徐々に使われなくなり、時代に合わせて使う機材も変化していき、今年はとうとうミラーレス一眼2台とアクションカムという構成になった。
今回持って行ったのはこの3台。
マイクロフォーサーズのオリンパス「OM-D E-M1」、APS-Cサイズの富士フイルム「X-Pro2」である。アクションカムとしてソニーの「HDR-AS300R」も用意。せっかくの海だからね。
レフ板などカメラ以外の装備はなし。
時節柄梅雨明け前に撮影するので天候はその日にならないと分からない。今年はみごとに風が強い曇天。小雨が時折ぱらつくレベル。でも、曇りは曇りの撮り方があるのである。いやむしろ曇っていた方がいろいろ遊べて楽しい。
海で水着、となると太陽がピカッと照り、空はスカっと晴れ、水しぶきがバシャッとはぜるような写真がありがちだけれども、晴れは晴れで大変なのだ。
太陽の位置が高いので目元が影になりやすいし、かといって顔に陽射しを当てるとまぶしくて目を開けられないし、コントラストが高いのでアングルも限られるし、日焼けに注意しなきゃいけないし、砂浜は熱いし、気温が高くて体力を奪われるしで苛酷なのである。
曇っているとスカッと爽やかな写真にはならないが、光が柔らかかいのでどの方向に顔を向けてもOKなのもありがたい。
上下左右に動いて撮ろう
今回のテーマは、曇っているのをいいことに、ゴロゴロしながら撮る、である。
同じポーズでも撮影する角度で雰囲気が全然違うものになるわけで、立ったり座ったり寝ころんだりぐるぐる回ったり、自分の身体を動かしてこれというアングルで撮ってみよう、だ。
撮る高さで写真が全然違ってくるのは基本。
まず目から胸の高さ。撮る人じゃなくて、相手の高さに合わせて撮った写真がこちら。50mm相当の標準レンズで。ボディーはX-Pro2、絞りはF2.0。
続いては少し下、腰のあたりからローアングルで狙ったカット。下から撮ると顔がちょっと小さくなりスタイルもよく見える。その代わり空が背景で逆光になるためプラスの補正を忘れずに。
背景がすっきりして海辺の写真っぽい。
どれがいいかは背景やスタイルや顔立ちや胸の見え方や天候やいろんな要素が絡んでくるので一概にはいえないけど、最終的には少し上から撮ったこれがカッコいいかな、と。
さらに一歩踏み込んだのがこちら。
岩場のざらついた感じを大きく見せつつ、無表情な彼女を右端においてみた。爽やかな水着写真ではないのでアレだけど、いい感じに撮れたので載せちゃいます。
なおちょっと上から撮るときは足は隠れた方がいい。遠近法で足が短く見えるから。足を長くきれいに見せたいなら少し下からがお勧め。
岩場編をもう1つ。ただ岩にもたれた写真。普通です。
でもここで岩の上にの上って真上から見下ろす感じで撮ると雰囲気ががらっと変わる。岩場は立体的に使え、というわけである。
こちらのカメラはE-M1でレンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」。
寝転がってるように見えるけど実は立っているというわけで、広角で見るとこんな感じ。
あ、これはアートフィルタの「ドラマティックトーン」で撮ったら面白いかも、と思って撮ったのがこちら。
岩場のざらっとした感じが強調された上に、F7.1と絞り込んで背景までピントが合っているので、後ろに見える足あともまた意味深に。
ややこしい技術的な話はともかくとして、上下左右、上ったり寝ころんだり、人を撮るときは自分が動き回っていろんな角度から見てみると面白いよ、という話。
(モデル:佐藤杏奈/オスカープロモーション)
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