パナソニックとサムスン、20世紀FOXが推進する「HDR10+」とは?
「IFA 2017」でパナソニックは、韓国のサムスン、映画スタジオの20世紀フォックスと協力して新たにHDR映像の高画質化を実現する新規格を立ち上げることを明らかにした。「HDR10+」(仮称)だ。
世界最大級のエレクトロニクスショー「IFA 2017」開幕を前に行われたパナソニックのプレスカンファレンス。この中でパナソニックは、韓国のサムスン、映画スタジオの20世紀フォックスと協力して新たにHDR映像の高画質化を実現する新規格を立ち上げることを明らかにした。「HDR10+」(仮称)だ。
HDR10+は映像の輝度と色合い、コントラストのデータをシーンやフレーム単位で自動的に最適化し、動的にトーンマッピングした“ダイナミック・メタデータ”を組み込むことでHDR映像の高画質を実現する技術。映像製作者の意図に沿ったイメージを家庭用の機器でも再現しやすくなるという。
パナソニックのプレスカンファレンスには20世紀フォックス・イノベーションラボのマネージングディレクター、Danny Kaye氏が出席。「フィルムやテレビの映像をより画質に楽しむための技術革新には常に取り組んできたが、今回はパナソニックとサムスンという強力なパートナーを得て次世代の高画質化技術に向けた取り組みを大きく前進させることができた」と満足気な様子をみせた。
Kaye氏は今後、HDR10+をオープンテクノロジーとして広げていく考えを表明。2018年1月からライセンスを開始するためにライセンス会社も設立する。本件については、IFAの期間中にまた別途詳しく取材してレポートする機会を設けたいと思っている。
映画製作のプロに評価されるパナソニックのHDR対応テレビ
パナソニックは家庭用の4K/HDR対応テレビとして、有機ELテレビと液晶テレビをそれぞれ展開している。4K有機ELテレビはテクニクスのエンジニアが音作りに関わったサウンドシステム一体型の「EZ1000」と、スタンダードなデザインの「EZ950」の2ライン。一方、4K/HDR対応の液晶テレビは国内で「EX750」シリーズに相当する「EX780」シリーズと、コンパクトでデザインコンシャスな「EX730」シリーズをラインアップに構える。
4K有機ELテレビは特にハリウッドで活躍するエンジニアからの評価が高く、この日のカンファレンスには米DeluxeスタジオのCCOであるStefan Sonnenfeld氏がビデオメッセージの中で「最新のEZ1000をスタジオワークで使いはじめてから、その見事な画質に感心している。私にとっての絶対的なリファレンスだ」と好意的な評価を寄せた。EZ1000シリーズの77型モデルは日本で9月22日から受注生産を開始するが、ヨーロッパでも今秋の発売が決まっている。またEZ1000シリーズについては、映像制作のプロフェッショナルが愛用するブラックマジック・デザインの動画編集アプリケーション「DaVinci」で設定したパラメーターを読み込んで、自動で画質設定を変更できる機能をファームウェアアップデートによって追加される予定だという。
「DC-GH5」がHLG方式の4K/HDR撮影に対応へ
ほかにもHDRに関連するトピックスとして、今年の3月に発売されたデジタル一眼レフカメラ「DC-GH5」が、9月下旬に提供されるファームウェアアップデートにより、HLG(Hybrid Log Gamma)方式による4K/HDR映像の撮影が可能になることが挙げられる(→国内発表資料)。撮影した4K/HDR動画はSDカード経由、またはカメラをHDMIケーブルでテレビに接続すれば見られるようになるという。一方、4K対応のビエラは2016年発売以降のモデルからソフトウェアアップデートによりHLG対応を予定している。
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