なぜ、ダイキンのエアコン「リソラ」は7つのカラーで誕生したのか?(2/2 ページ)
日産「Be-1」コンセプトなどで知られるプロダクトデザイナーの坂井直樹氏も参画したダイキンのエアコン「リソラ」。ホワイトが主流のエアコンに7つのカラーを持ち込んだ真意とは?
製品ラインアップ上、リソラはミドルクラスに位置付けられている。トップモデルから「垂直気流」「天井気流」といった機能を継承しつつ、ファンのエッジに切れ込みを入れることで風の乱れを抑える新開発の「多連結ソウエッジクロスフローファン」によりコンパクト化を実現。奥行き185ミリという薄型デザインに仕上げた。そして7色という豊富なカラーリングも特徴だ。
この7色はどのように選ばれたのか。関氏によると「まずインテリアのトレンドなどを徹底的に調べ、それぞれに合わせて色を絞り込んでいきます。地味なやり方ですが、日本の住宅のリビングルームならシンプルモダンといわれるようなプレーンなものはマストで、高級感がありシックなダークブラウンなどもマッチするはずだと、1つ1つトレンドを精査しながら決めました」(関氏)
インテリアのトレンドを精査して色を選択
ミドルモデルのため、リビングルームだけではなく子ども部屋や寝室など、様々な部屋で使われることも想定した。もちろん中には和室も含まれる。「和室であれば、落ち着いたブラックウッドなどがマッチしますし、子ども部屋ならインテリアやおもちゃなどに合わせてポップな色も映えます。とはいえ、あまり強すぎる色は良くありません。そこに住む人たちが受け入れるカラーリングを探し、落ち着いた『ソライロ』などは挙がりました。一言でいえば、いかに人が快適に暮らせるかを細かくイメージした結果、生まれた7色です」(関氏)
インテリアは住む人の趣味だけではなく、暮らしぶりも反映する。例えば落ち着いた暮らしをしたい人はシックなデザインやナチュラルカラーを選び、派手な色は選ばないだろう。「それぞれの色がもたらす体験をじっくり考慮し、リソラの色は決めています」(関氏)
一方でファッショントレンドにありがちな赤や黄色は候補に挙がらなかった。理由は「やはり生活空間にあって毎日目にするものとしては強すぎる色だと思います。快適な空間になるとは思えないので、今回はシックなものをセレクトしました」。製品単体ではなく、あくまでもインテリアとの調和にこだわったという。「家電は存在そのもので空間の雰囲気を作ります。そうした視点でもエアコンのカラーリングは重要です」
塗装にもこだわった。「単色塗装では深みのない質感に仕上がり、“チープ感”が強くなってしまいます。今回はプリント柄をパネルの上に何枚も重ね合わせるインモールド成形技術の採用により、質感や色合い、深みのある質感を作り出し、インテリアとの調和を実現しました」(関氏)。リソラでは、目、織目、ツヤ、ライン、布地など、カラーリングによって異なるテクスチャーを採用している。
最後に、坂井氏と関氏に個人的に気になるカラーを聞いてみた。すると、2人が指さしたのは同じ色。
「やはり気になるのはグリーンですね。家電においてグリーンでなかなか使われない色です。それだけに、どう受け入れられるのかが気になります。例えば観葉植物のように部屋のアクセントに加え、空間に穏やかな印象をプラスするといいと思います」(関氏)
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