リクルートの最年少役員は何を考え、どんな仕事をしてきたのか上阪徹が探る、リクルートのリアル(1/6 ページ)

» 2014年06月27日 08時00分 公開
[上阪徹Business Media 誠]

著者プロフィール:

上阪徹(うえさか・とおる)

 1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。

 著書に『書いて生きていく プロ文章論』『リブセンス<生きる意味> 』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター』『僕がグーグルで成長できた理由』など。インタビュー集にベストセラーになった『プロ論。』など。


 アグリゲート型検索モデル、という言葉をご存じだろうか。例えば、求人サイトは今も世の中にたくさんあるが、これは企業などのクライアントが広告を出稿、それを掲載し、カスタマーに見てもらって応募や内定というアクションに至る、というモデル。それに対して、アグリゲート型検索モデルは、インターネット上にある求人情報を検索エンジンが検索し、求人サイト内の求人情報はもちろん、企業のWebサイトにある求人情報なども取って来られる仕組みだ。

 検索キーにキーワードを入れるだけで、求人情報の自動サーチができる、と言い換えてもいいかもしれない。原理的には、インターネット上のすべての求人情報を検索できることになる。しかも、地球規模で、である。これは、オンライン求人の世界に革命的なインパクトをもたらすことになるかもしれない。実際、グローバルで最大級のユーザー数を誇るアグリゲート型検索モデルの求人情報専門検索エンジンサイトは、月間ユニークビジター数が全世界で1億4000万にも達するという。その技術力への注目から、エンジニア採用ではFacebookやAmazonといった企業とバッティングすることも少なくないらしい。

 米国に本拠を持ち、世界55カ国以上、28言語で展開している、2004年に生まれたこのアグリゲート型検索モデルのサイト「indeed(インディード)」を2012年に買収したのが、実はリクルートだ。事業は買収後も急激な成長を続けており、400人規模だった従業員数は、わずか2年弱で1000人を超えた。ITベンチャーのM&A、さらには日本企業による海外企業の「M&A」は運営が極めて難しいとされるが、indeedはリクルートの買収後、成長を加速させているのである。

 このindeed買収を、全社Web戦略室室長時代に自ら仕掛け、現在はCEO&Presidentとして米国に駐在、世界規模の成長を牽引しているのが、グローバル本部グローバルオンラインHR担当の出木場久征(いでこば・ひさゆき)氏だ。連載の第7回で紹介した、リクルートホールディングスの最年少執行役員とは彼のこと(関連記事)。入社13年目の36歳にして17人しかいない執行役員の1人に任命された人物である。

 この20年で急激に変わったリクルートを象徴するキーワード「グローバル」「新規事業」「テクノロジー」「戦略・人材活用」「M&A」を5つのテーマに、第一線で働く現役社員に聞くインタビュー。第9回「M&A」はこの出木場氏にご登場いただく。インタビューは冒頭から型破りな話で始まった。

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