503iの詳細なベンチマーク結果公開──スパイシーソフト

現在2機種が発表済みの,Java対応iモード端末503iでは,画面描画や数値演算などでかなりの速度差が出る。スパイシーソフトは,各APIごとに速度を計測することで,iアプリ開発者への情報提供を行う。

【国内記事】 2001年2月13日更新

 iアプリのポータルサイト「アプリ★ゲット」を運営するスパイシーソフトでは,Java搭載携帯電話「503i」シリーズの詳細なベンチマーク結果を公開し,iアプリを製作する開発者をサポートする。

端末間の性能差を把握する必要性

 iアプリは,Java言語を使ってプログラミングされるが,その動作には各端末によって違いがある。NTTドコモが公開している仕様に従って開発する限り,どの機種でも動作はするが,実際には「F503i」「P503i」といった端末によってプログラムを作り変えている場合もある。

 その理由はいくつかある。503iでは端末によって,利用できるローカルストレージ(スクラッチパッド)のサイズが違ったり,液晶の解像度も異なる。また,ある端末専用の機能も存在する。最小公約数的なアプリケーションならば,どの端末でも動作はするが,ある機種の性能を最大限に引き出そうと思ったら,専用のアプリケーションとならざるを得ない(2月1日の記事参照)。

 端末のJava実行速度の違いも,専用アプリケーションを作らざるを得ない理由の1つだ。iアプリ開発者のポータルとして,メーリングリストや開発者向けのコンテンツを提供しているスパイシーソフトは,現在販売されている503i端末に関して,50種類にもおよぶ詳細なベンチマークテストを行い,結果を公開している。

 これは,「すべての機種で同じようにアプリケーションを動作させるため」(スパイシーソフト)というのが狙いだ。ベンチマーク結果によると,F503iは演算などに強いが,グラフィックスの表示はP503iの方が高速となっている。ゲームなどのアプリケーションでは,F503iとP503iで操作感が異なることのないようにしなくてはいけない。ベンチマーク結果を意識することで,「(端末が)苦手な処理は省くなど,端末ごとにソフトを作り変えることができる」(スパイシーソフト)という。

 また,実機の動作を確認できないユーザーへの情報提供という側面もある。店頭に飾ってあるモックアップでは,デザインや液晶の大きさは分かっても,iアプリの動作の具合は体感できない。ベンチマークの結果は,プログラミングで使われる命令単位で速度を計測しているものだが,エンドユーザーにもある程度の参考になるはずだ。

 これらのベンチマークソフトは,ユーザーがダウンロードできるようになる予定だ。スパイシーソフトでは,今後発売が予定されている503i端末も,同様にベンチマークテストを行っていくという。

グラフィック処理

 iアプリの画像処理性能を見たのがこのベンチマーク結果だ。棒グラフは,テストごとにP503iとF503iを相対的に見た処理速度を表している。短いほうがより高速に処理を実行できる。こちらは,F503iとP503iで項目ごとに大きな差がついた。

 iアプリで利用できる画像の形式であるGIFファイルの表示に関しては,P503iのほうが相当に高速だ。それぞれ10倍近い差がある。逆に,iアプリ上で線を引いたり,文字を描画する「Draw」命令に関しては,F503iが高速だ。

I/O処理

 iアプリのアーカイブ形式であるJARファイルの読み込みと変換,またiアプリが利用するローカルストレージであるスクラッチパッドの読み書きに関しての結果である。こちらも棒グラフの意味は同じ。短いほうがより高速に処理を実行できる。

 こちらはグラフィック処理ほどの大きな差はない。しかしやはりGIFの取り扱いではP503iのほうが高速だ。ほかの部分はF503iが有利である。こうしたグラフィックに関しての差を考慮してか,スパイシーソフトでは「P503iはアクションゲームに向く」と語っている。

VM(CPU)

 iアプリが実行されるJavaVMの処理速度と,携帯電話に搭載されたCPUの速度を計測するテスト。やはり短いほうがより高速に処理を実行できる。

 こちらは全般的にF503iが高速だ。特に整数演算では,P503iの3倍近い速度で実行されている。

ヒープ

 ヒープとは,パソコンでいうメモリの容量のこと。ヒープにiアプリは読み込まれ,必要なデータもヒープに展開される。ヒープサイズが大きいと,ネットワークから同時に多くのデータや画像を取得できる。値はテストごとにP503iとF503iを相対的に見たヒープの大きさで,棒グラフが長いほど性能が高いことを示している。

 こちらもGIF関連以外は,F503iが有利。iアプリが最大50件保存できる点を考えても,F503iのメモリは潤沢であろうと想像できる。

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[斎藤健二,ITmedia]

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