J-フォン,Java端末の全貌を公開──ハードウェアの制御も可能(1/2)

MIDPをベースとしたJ-フォンのJava仕様が公開された。2D,3Dのマルチメディア機能を中心に,ハードウェアへのアクセスも認めるなど,大幅な機能拡張が図られている。

【国内記事】 2001年3月22日更新

 「SUN WIRELESS SUMMIT」が3月22日,東京国際フォーラムで開催された。その中で,J-フォンは「J-PHONEのJava端末戦略」と題した講演を行い,6月に発売されるといわれるJ-フォンのJava搭載端末の全貌を公開した。

英VodafoneとJavaのAPIを共通化し,コンテンツ世界流通目指す

 J-フォン東日本の技術本部サービス開発室部長である太田洋氏は,6月に市場投入されるJ-フォンのJava搭載端末の特徴を語った。特徴は以下のとおりだ。

  • J2ME/MIDPに準拠
  • ケータイでは世界で類を見ない強力なAPIを実装
  • 30Kバイト以上のダウンロードサイズ
  • 将来的にAPIをオープン化

 NTTドコモのJava搭載携帯電話「503i」シリーズが,半ば独自仕様なのに対して,J-フォンはMIDPと呼ばれる携帯機器向けの標準的な仕様を採用する。「最も重要なのは,APIがオープンであることだ」(太田氏)

 もっとも,この点は後発の利ともいえる。「503iを企画した時点では,まだ規格が定まっていなかった」(NTTドコモ)

 Javaアーカイブのサイズは30Kバイト前後を予定している。「実際はもっと入る機種もある」(太田氏)。ドコモの503iシリーズでは,サイズが10Kバイトに制限されており,開発者からは制限の緩和を求める声が多い。

 JavaVMには,当初の予定通りアプリックスの「J-Blend」を採用する。ドコモの端末がさまざまなメーカーのJavaVMを採用しているのに対し,J-フォン端末ではJ-Blendに統一する。端末メーカー間で共通のJavaVMを使うことで「非常に互換性が高い」(太田氏)というメリットが出る。

2Dのスプライト,3Dポリゴンも搭載

 MIDPは標準的なAPIだが,「マルチメディア機能で,MIDPは競争力上問題がある」と太田氏は言う。そのためJ-フォンがアプリックスと共同開発したのが,“ケータイでは類を見ない”と同社が言う拡張APIだ(詳細は次ページ)。

J-フォンの携帯電話のアーキテクチャ。J-フォンは拡張API部分をJSCL(J-PHONE Specific Class Libraries)と呼んでいる

 この拡張によって,2Dのスプライト処理や,3Dポリゴンエンジン(3月15日の記事参照)もJavaから利用可能になる。「マルチメディアに求められるのはコンテンツの表現力」と太田氏が言うとおり,携帯電話の表現力を大幅に拡張する仕様だ。

 また,電話機能やメール機能の制御がJavaアプリケーションから行えるのも特徴だ。「面白いアプリを作る上では,ハードウェアの制御は当然可能であるべき」(太田氏)

 これらのAPIは,J-フォングループと関係の深い英Vodafoneと共通化していく予定だ。「コンテンツの世界流通を図りたい」(太田氏)

機能拡張とセキュリティの間で揺れるJ-フォン

 大幅な機能拡張が行われるJ-フォンのJava仕様だが,その分,セキュリティが犠牲になっていることは否めない。6月のサービス開始時は,J-フォンが検証し,J-フォンが保有するダウンロードサーバ内にあるJavaアプリケーションしかダウンロードは行えない。「まずはオフィシャルコンテンツから始める」(太田氏)

 一般のサーバからJavaアプリケーションがダウンロードできるようになるのは,“次期フェーズ”からとされている。

 NTTドコモの503iシリーズの場合,ハードウェアのアクセスなどセキュリティ上の問題となる機能はすべて不可とした代わりに,サービス開始当初から一般サイトでもJavaアプリケーションが提供できた。J-フォンのJavaは,多くの拡張を施し,ハードウェアの制御も部分的に認めたことで,アプリケーションの自由度は上がったものの,当初は“オープン”とは呼べないものとなっている。



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