P@bitで主流のデータ量課金へ,そして高速パケット通信に進むツーカー

携帯電話では主流になりつつあるブラウザフォンで,唯一時間課金のみなのがツーカー。P@bitで主流のデータ量課金を導入,今夏には28800bpsという高速パケット通信をも導入し,ブラウザフォンの強化を進める。

【国内記事】 2001年4月20日更新

段階的にブラウザフォンを強化

 EZWeb対応で携帯電話キャリアでは最後にブラウザフォンを投入したツーカー。しかし1分/10円(はじめの1分のみ3円)という時間課金はブラウザフォン向きとはいいがたい。携帯電話で時間課金はツーカーとauのPDCだけだ。

 ツーカーはユーザーの利便性を図るため,2段階でブラウザフォンの強化を進める。その第1段階が「EZweb@mail」と同時に導入される「P@bit」,第2段階が受信速度28800bpsという高速なパケット通信だ(2月15日の記事参照)。

 「よく混同されるのだが,P@bitとパケット通信は別物。P@bitはあくまでデータ量課金の接続サービスのことをさす。例えばP@bit対応のTD11はデータ通信は回線交換だが,データ量課金。基地局のパケット通信対応は関係ない。TD11はツーカーグループの全エリアでデータ量課金で利用できる」(ツーカーセルラー東京)

 確かに勘違いされやすいのだが,P@bit=パケット通信ではない。まずは現状のインフラのままデータ量課金にすることで利用エリアを限定せず,Eメールの送受信やインターネットアクセスの低料金化を図ったのがP@bit。データ量課金にも関わらずデータ通信を回線交換で行うとキャリア側の負担も大きいが,まずはユーザーの要望に答えるために採用したと言う。もちろん今夏にサービスを開始するパケット通信もデータ量課金だ。

 「パケット通信は独自技術で実現する。基地局の大規模な改修もいらないし,エリアも随時拡大する。まだ具体化していないものの,28800bpsの通信速度を生かした独自コンテンツの提供も検討している」(ツーカーセルラー東京)

 パケット通信は音声通話で利用している帯域をそのまま利用するため,基地局側はアンテナの改修などは不要。パケット通信用のボードを追加するだけだという。これなら利用エリアの拡大も早そうだ。

 「パケット通信の採用は率直に言えば時流に合わせたものだ。ユーザーから要望が多かったのも事実。28800bpsのパケット通信をPCやPDAと接続して使うことも検討している」(ツーカーセルラー東京)

 28800bpsといえばPHSに匹敵するデータ通信速度。送信は9600bpsとなるが,インターネット利用では受信速度のほうがずっと重要だ。PCやPDAと接続してインターネット接続が可能になれば,かなり魅力的になるだろう。

 ブラウザフォンに関しては投入も遅く,しかも時間課金と今一つ魅力に欠けたツーカー。しかしP@bit,パケット通信の導入で一気にその魅力は増しそうだ。

EZweb@mailの導入で最強メール環境へ

 現在のところ対応機種はTD11のみだが,auに続いて導入されたのがEZweb@mail。iモードのようにEメール全文を自動受信することもできるし,タイトルと発信者名だけを受信して要なメールのみ本文を受信することもできる。1通当たりの受信文字数が5000文字(10000バイト),送信文字数が500文字(1000バイト)と多く,強力なメール機能だ。

 ツーカーでは現状のSkyMessageサービスも継続する。同社のSkyMessage対応機種,およびJ-フォングループのSkyMail対応機種とダイレクトにメールの送受信可能が可能であり,受信は無料だ。Eメールの受信には300円/月の定額料(ツーカーセルラー東京の場合)が必要だが受信し放題で,もちろんEメールの送信も可能だ。

 SkyMessageでは1通当たり192文字(384バイト)と受信文字数は制限されるが,携帯電話向けのメール転送サービスなどを利用しメールを分割して受信するようにすれば,リーズナブルに長文メールを大量に受信することができる。

 EZweb@mail対応機種では結果的に2つのメールシステム,2つのEメールアドレスが利用可能になる。データ量課金のEZweb@mailは短いEメールの送受信がリーズナブルであり,SkyMessageでは定額料のみでEメールが受信し放題だ。

 例えば携帯電話同士のEメールはEZweb@mailで,普段PCで利用しているEメールはSkyMessageに転送して受信,という使い分けをすれば,大量のEメールを送受信してもかなりリーズナブルになるはず。

 EZweb@mailの導入で,ツーカーは最強のメール環境を実現したとも言える。

パケット料金の値下げも検討,Javaはauと協調へ

 P@bitで導入されたデータ量課金のパケット料金は0.27円/パケット(1パケット128バイト)で,これはiモードよりわずかに安く,auと同じ水準といえる設定。パケット料金の値下げも検討しているが,ほかの携帯電話キャリアの動向次第だとツーカーは言う。これは同じKDDIグループに,携帯電話キャリアであるauが存在するため,なかなか率先して行うことが難しいというのが実情のようだ。

 唯一Javaへの対応を公表していないツーカーだが,今後はEZWebという共通プラットホームを利用するauと協調していく。コンテンツあってのJavaであり,独自でJava対応を行うメリットが見えないからだ。

 次世代サービスへ移行できないことばかりが不安視されるツーカー。しかしその実情はPDC方式を継続するというコストメリットを生かし,次世代サービスとはまた異なる魅力を打ち出そうと動き続けている。

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[坪山博貴,ITmedia]

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