日本通信のbモバイル──CF版が目指すものは?

DDIポケットのMVNOである日本通信は,32Kbpsつなぎ放題のCFカード版を近日中にも発表すると語った。開始を間近に控えた128Kbpsサービスでも,アクセラレータ強化,法人向けオプションサービスの拡充などを予定している。

【国内記事】 2002年2月21日更新

 日本通信のbモバイルは1年分の利用料金を一括先払いすることで,DDIポケットのつなぎ放題サービスより安価なサービスを提供しているMVNO (仮想通信事業体) 。アクセラレータ機能を導入してWeb閲覧時の高速化を図るユニークなアプローチでコンシューマーユーザーを獲得している (11月28日の記事参照) 。

 同社では,3月26日から開始されるPCカード版の128Kbpsのつなぎ放題サービスに加え (1月17日の記事参照) ,近日中には32KbpsによるCFカード版つなぎ放題サービスも開始する予定だという。PDAとPCの両方で利用でき,アクセラレータ機能も利用できるサービスで,その登場が待たれていた。

CFカード版32Kbpsのつなぎ放題サービスが見えてきた

 「これまでbモバイルを販売してきた実績から,コンシューマー向けの場合,価格がリーズナブルであれば (1月25日の記事参照) 32Kbpsのつなぎ放題サービスにも大きなニーズがあることが分かった。近い将来,128Kbpsより安価なCFカード型32Kbpsのつなぎ放題サービスを発表できると思う。当面はこの2ラインでサービスを提供していく」と話すのは日本通信CTOの中井純氏。

 32Kbpsとアクセラレータの組み合わせでは平均して50Kbpsの速度が出ているというが,このサービスをPDAでも享受できるメリットは大きい。


日本通信CTOの中井純氏

 128KbpsのCFカード版サービスも,日本通信では既に準備を進めているようだ。「CFカード版の128Kbpsサービスは,メーカーの対応端末リリースを待っているところ。端末が出てDDIポケットのサービスが対応すれば,同時期にサービスを提供できるよう準備を進めている」 (中井氏)

 気を付けたいのは,32KbpsのCFカード版を購入したユーザーは128KbpsのCFカード版サービスが開始されてもアップグレードは行えない点。「PCカード版は,128Kbpsの開始を待ってくれたユーザーに対するアドバンテージという意味合いもあった。32KbpsのCFカード版サービスについては,アップグレードサービスを行う予定はない」 (中井氏)

 なお,PCカード版128Kbpsサービス開始以降,パッケージの価格は値上げされる予定だ。「これまでのユーザーに対しては,128Kbps通信を待ってもらったリスクの対価として,DDIポケットのサービスと比較したときに,5万円ぐらいのメリットを還元する価格設定だった」(中井氏)。128Kbpsは10万円ぐらい,32Kbpsは8万円ぐらいの価格を予定している。

 ユーザーは,「安くてつなぎっ放しの32Kbps」か,「相当の価格で128Kbpsによるつなぎっ放し」にするかを選択できるようになるということだ。

アクセラレータ機能もさらに強化

 アクセラレータ機能も更なる高速化を図るため,3月26日から機能が強化される。

 「社内でテストを重ねた上で,最適と思われる圧縮パラメータに基づいた2つの速度をアクセラレータ機能に加える。画像のクオリティは犠牲になるが,現在の32Kbpsとアクセラレータの組み合わせで平均して50Kbpsというパフォーマンス (1月31日の記事参照) をさらに高めた,平均して2倍というバージョンと,平均して3〜4倍というバージョンだ」 (中井氏)。いずれも現状のアクセラレータとの比較による数値となる。圧縮の方法は,基本的には同じなので,クライアント側に新たにアプリケーションを組み込む必要はない 。

 理想としては「ユーザーひとりひとりが自分の好みに合わせてセットアップできる」仕様を用意する予定だったが,3月26日には間に合わなかったという。

 アクセラレータ機能は,当初は法人向けに導入した機能であるというが,その機能がコンシューマでも注目を集めることになった。「アクセラレータサービスは,クライアントサーバ向けに始めると思っていたが,急遽コンシューマー向けサービス差別化のために開発を進めることになったもの。まさに怪我の功名だ」 (中井氏)

法人サービスと個人サービスの割合は半々

 中井氏によれば,もともと日本通信は,2001年秋に開始される予定であった128Kbpsのつなぎ放題に照準を合わせてサービスを開始する予定であったという。DDIポケットがサービス開始を延期したことで,「ビジネスで32Kbpsは厳しい」との判断から,コンシューマー向けのプリペイドサービスを開始したという経緯がある。

 bモバイルは,コンシューマーユーザーと法人ユーザーに向けてサービスを展開しているが,やはりビジネスユーザーを増やしたい考えのようだ。同じMVNOの京セラコミュニケーションズはセキュリティ面の強化をウリにしているが,bモバイルでもセミュリティ面のサポートを始め,データの圧縮などによる速度の強化,プロバイダとの提携による安価なローミングサービスなどを提供する予定だという。

 さらに同社では,ビジネスユーザー向けのオプションとして,メールの添付ファイル圧縮による通信速度の高速化も予定している。こちらは同じ圧縮でもプロキシサーバを使ったアクセラレータとは仕組みが少し異なり「サーバ側に添付ファイルのデータタイプを判別し,それぞれに最適化された圧縮をかけ,クライアント側で戻すという仕様になる」。この場合はクライアント側に専用のソフトを入れる必要がある。

 しかし,7万6000円 (2月22日現在) という製品を,インターネット上のみの販売で2000セット販売したという同社は,コンシューマーのニーズも見逃せないと話す。「 (個人と法人の比率は) 数としては半々ぐらいになるだろう。特にユーザーサポートは,ユーザーが困ったときの大切な窓口。アウトソーシングなどはせず,正社員10人を担当させている。 (問い合わせを受けたユーザーで) bモバイルでデータ通信できなかったという人はいない」 (中井氏)

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[後藤祥子,ITmedia]

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