重要なのは,もはや精度ではない?──携帯のかな漢字変換進化を続ける携帯のかな漢字変換は,今年あたりから新しいフェーズに入りそうだ。連文節変換は当たり前,予測変換もなければ困る。次なる課題は,変換インタフェースの作りと,さらなる辞書のチューニングにあるようだ。
目立たぬところだが,今年の携帯電話の改良点の1つはかな漢字変換機能の向上だ。今年に入って発表された新端末を見れば,ブランド名の付いたかな漢字変換システムのオンパレード。
主な最新端末のかな漢字変換システム ざっと見ても,ジャストシステムの「ATOK」とオムロンソフトウェアの「モバイルWnn」の採用率が高いのが分かる。ATOKやモバイルWnnを採用していない端末メーカーも,かな漢字変換にブランド名を付けるなど,アピールに必死だ。 ブランド名が表に出てきたのは最近だが,モバイルWnnの歴史は古い。採用端末はソニー,パイオニア,京セラ,松下電器,三洋電機,ケンウッドの22機種におよぶ。
京都で開催された「ケータイ国際フォーラム」展示ブースでは,モバイルWnnが紹介されていた
変換精度向上の次にくるものは?文字入力システムの主戦場は,PCから携帯電話に移ってたといってもいいだろう。オムロンソフトウェアの技術開発部主務の田中成人氏によると,国内のキーボードによるタッチタイプ人口は約1000万。対して携帯電話で文字入力を行う人口は3000万だという。「既に文字入力のデファクトスタンダードは携帯だ」(田中氏) 小さなキーボード,限られたメモリ容量など制限が多い携帯のハードウェアの中,かな漢字変換も進化を遂げてきた。今や,連文節変換は当たり前。変換精度も大きく向上し,予測変換機能を備える端末も少なくない。 しかし「変換精度から,どんな単語を抽出して候補として表示するのかが,今後の評価軸になる」と田中氏は語る。 「変換精度はかなりのレベルにまできた。これ以上精度を上げようとすると,辞書サイズも含めたプログラムサイズが飛躍的に大きくなってしまう」(田中氏) モバイルWnnでも,次のバージョンになっても変換エンジンそのものに手を加える部分は少ないという。 では,次の課題は何なのか。田中氏は,携帯の画面が大きくなってきたことを挙げ,「変換候補としてどんな単語を出すか。一覧の中に求める単語をどれだけ表示させるか」が課題になるという。 これには,“必要ない単語を表示させない”という辞書のチューニングのほかに,“どのように候補をユーザーに示すか”という画面構成の最適化も必要になってくる。特に予測変換では,予測候補があることをユーザーに知らせること,ユーザーが予測候補から簡単に選択できるようにすることが重要だ。
辞書のダウンロードは今後の主流にそうはいっても辞書のチューニングは難しい。携帯のメモリは限られており,“誰にでも最適な辞書”というのはあり得ないからだ。 例えばモバイルWnnでは,さまざまな地名辞書を持っているが,それを最初から全部端末に組み込んでしまってはとてもメモリが足りない。そこで,「自分が住んでいる地域の住所のデータをWebから無料でダウンロードして使う」(田中氏)仕組みが考えられた。 東京に住んでいる人なら,東京都内は細かな地名まで辞書に入っていてほしいが,大阪の詳細な地名は必要ない。「モー娘。」が変換できてありがたいと思う人もいれば,一部上場企業の社名がすべて変換できるほうが便利な人もいる。ユーザーがニーズに従って必要な辞書をダウンロードすることで,メモリ容量を抑えつつ,最適な辞書を実現できるわけだ。 既に,モバイルWnnを採用した京セラ端末「A1012K」では,京セラサイトから東京駅名辞書,関西弁辞書などをダウンロードできるようになっている(3月19日の記事参照)。この仕組みを押し進めれば「自分の端末の学習データをサーバに上げて,機種変更時でも学習結果を引き継げるようになる」と田中氏。 モバイルWnn非採用のある端末メーカーでも,同様の仕組みを考えており,“辞書のダウンロード”は今後の主流の1つになりそうだ。
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