有機EL搭載の携帯,年内にも登場──しかし課題も(1/2)

三洋電機は年内にも有機ELディスプレイを搭載した携帯電話をau向けに投入することを明らかにした。しかし,メリットばかりが語られる有機ELにも,進化を続ける液晶との戦いでは苦戦を強いられる部分がある。

【国内記事】 2002年4月16日更新

 年内には“有機ELディスプレイ採用”を高らかにうたった携帯電話が登場する。

 「EDEX2002 電子ディスプレイ展」に出展した三洋電機は,有機ELディスプレイ(用語)の2002年内の量産開始を明言。同社がau向け端末として投入するスライド型携帯電話へ搭載する(2001年9月の記事参照)。


「量産ラインから出てきたもの」と三洋が説明する2.2インチ26万色有機ELディスプレイ。EL材料は低分子型で,TFTを使ったアクティブ型だ。同時に5.5インチサイズの有機ELディスプレイも展示されたが,搭載機器が見つかるまで量産は行わないという

 三洋は「アプリケーションの使い方を注意しながら,端末メーカーと協力しながら有機ELを搭載していく必要がある」と,有機ELディスプレイを自社製端末に最初に搭載する理由を説明する。

 というのも,有機ELは単に“搭載しました”だけでは性能を十分に発揮できない場合があるから。

 例えば,三洋はこの有機ELディスプレイの消費電力や寿命について,明確な説明を避けた。「有機ELは,表示する画像によって,消費電力や寿命が大きく変わってくる」というのがその理由だ。

 自己発光素子である有機ELの場合,基本的に画面の黒い部分では電力を消費しない。逆に,白い部分ではRGB各素子が最高輝度で光るため,大きな電力消費となる。また光らせただけ,寿命が減るのも有機ELの特徴だ。この点は,黒であろうと白であろうと同じようにバックライトが光る液晶とは大きく異なる部分。

“携帯のソフトウェアをどのように作り込むか,どのようなアプリケーションを載せるか”によって,有機ELの特性は大きく変わってくるわけだ。

東北パイオニアの有機ELは背面ディスプレイに採用

 携帯電話への搭載が進んでいるのは三洋だけではない。東北パイオニアは「5月に登場する携帯電話に,パッシブ型の有機ELを使った背面ディスプレイが採用される」と語る。

 東北パイオニアのパッシブ型有機ELディスプレイは,既にカーオーディオや,米Motorolaの携帯電話に採用されるなど,実績のあるもの。

 さらに,アクティブ型のカラー有機ELディスプレイも携帯メーカーとの交渉に入っており,製品搭載も近いと思われる。


東北パイオニアのアクティブ型有機ELディスプレイ。1.8インチ・176×220ピクセルのものだが,「150ppiにこだわった。製品化は2.1または2.2インチ」だと言う。

有機ELは果たして携帯電話に向いているのか?

 今回のEDEX2002 電子ディスプレイ展には,セイコーエプソン,東芝松下ディスプレイテクノロジーなども高分子型の有機ELディスプレイを展示。


左はエプソンの,右は東芝松下ディスプレイテクノロジーの有機ELディスプレイ。インクジェット方式で高分子材料を用いる

 しかし低分子型の有機ELを進める三洋,東北パイオニアとは,携帯電話への搭載について大きく意見が分かれた。

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[斎藤健二,ITmedia]

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