Mobile:NEWS 2002年5月29日 11:45 PM 更新

iショットは写メールを超えられるか?

ドコモがカメラ付き携帯を投入する。「写メールの後追い」であることは確かだが、高性能の端末を用意し、「iショット」というiモード向けの画像送信・変換サービスも用意した。実機発売前だが、その実力を考察してみよう

 NTTドコモがついにカメラ内蔵端末を発表した(5月28日の記事参照)。

iショット vs. 写メール

 気になるのは、既に500万台を突破したという写メール(5月28日の記事参照)とiショットの違いだ。iショットの特徴は、「iショットセンター」と呼ばれるサーバをいったん経由する方法を使うことで、画像をメールに添付できないiモード端末でも、画像を受け取って閲覧することを可能にしていること。

 つまり、写メールは画像を変換してURLを送ってくれるようなサービスを使わないとiモード端末に画像を送れないが、iショットの場合、幅広いキャリアの端末に送信できる可能性が高い。iショットセンターは、いってみれば写メール向けの無料サービスである「@sha-mail」のような機能も備えているといえる(2001年9月の記事参照)。

送信元\送信先iモードJ-フォンau
iショット○(URL付きメール)○(JPEG添付メール)○(PNG添付メール)
写メール×
auやツーカーのカメラ付き×

iショットからiモード端末以外に送信すると、JPEG画像が添付されて届く。J-フォン端末は2000年9月発売の「J-D03」以降、一部を除いてJPEGに対応しているが、au端末では基本的に2001年12月以降の4ケタ型番の端末でしかJPEG画像を表示できない(C414Kなどは表示可)。そのため△とした。au端末向けに送信した場合、iショットではPNG画像が添付された送信される。そのため、ほとんどの端末で閲覧できる。ただし、JPEG対応のA3012CAにもPNG画像が送信された。PNGのため、画質的には今ひとつだ
逆に、写メールやau、ツーカーは添付する画像としてJPEG以外にPNGも選べるが、ドコモによるとiショットではJPEGだけだという。そのため基本の画像フォーマットがPNGであるau端末に送信する場合は、写メールやau、ツーカーのほうが安心だ。

 ただしiショットには弱点も少なくない。“返信ができない”(5月28日の記事参照)ことに加え、カメラ内蔵端末しか送信できないのだ。J-フォンやauの端末では、画像を受け取ったユーザーが、その画像を友人に転送することもできる。著作権に問題がなければ、Webから入手した画像をメールで送ることも可能だ。

 しかしiショットの場合、画像を送れるのは当初「SH251i」のみ。しかも“自分で撮影した画像”しか受け付けない。「画像をやりとりする文化が、3Gにつながる」とJ-フォンが語る通り、たとえカメラ内蔵でない端末でも自由に画像を送受信できるほうが進歩的ではないだろうか。

端末は、今のところiショットが有利

 では、端末自体はどうだろうか。SH251iが発売前であるため、主なスペックを中心に比較してみると以下のようになる。

端末センサ方式有効画素数最大撮影解像度動画サブディスプレイ付加機能
SH251iCCD31万画素288×352×0.9インチカラー内蔵ライト
J-SH51CMOS31万画素640×480SDカードスロット
J-T51CCD非公開・推定11万画素288×352ファインダーに利用できず外付けフラッシュ
A3012CACMOS31万画素640×480×ファインダーに利用できず
J-SH08CMOS31万画素120×160×非公開・推定0.4インチカラー

 CCDは消費電力こそ大きいものの、CMOSに比べて感度が高く、撮影時の画像追随性が高いと一般にいわれている(2001年3月の記事参照)。携帯電話向けのカメラセンサは当初CMOSで始まり、CCDを組み込んだのは、今年3月に登場したツーカーの東芝製「TT21」が最初だ(2月13日の記事参照)。SH251iは、31万画素のCCDとこれまでの最高のスペックを持つ。

 また背面液晶をファインダー代わりに利用するというアイデアも、J-フォンの「J-SH08」から始まったものだ(2月1日の記事参照)。しかしSH251iでは液晶サイズを大幅にアップ。さらに利便性が増した。

 「ピクチャーライト」と呼ばれるライトを内蔵しているのもSH251iの特徴。「暗い場所での撮影を補助するものであり、カメラのストロボのような光量はない」としているが、効果が期待される。

 SH251iは、動画が撮れないことくらいしか弱点がない。カメラのスペックとしては、現時点で最高クラスといえる。画素数に比べて、撮影画面サイズが小さいのはドコモの貧弱なネットワークが影響しているものと推定される。

 ただし、撮影枚数には課題が残るだろう。読者の方からもご指摘いただいたが、SH251iの画像保存枚数は標準モードで約80枚。J-SH08こそ同じく80枚程度しか保存できないが、SDカードスロットを搭載するJ-SH51は実質無制限に画像を保存できる。A3012CAは、12.8Mバイトものメモリを内蔵し最大800枚の保存枚数を誇る(4月4日の記事参照)。もちろん、画像の保存枚数はどれだけメモリを搭載するかにかかっている。そこはコストとの兼ね合いなわけだ。SH251iの保存枚数をどう見るかは、ユーザーがどのように利用するかによっても変わってくるだろう。(5月30日付記)

全携帯キャリア参入で、2002年は“カメラの戦い”に

 最後発とはいえ、ドコモがカメラ付きに参入したことで、携帯電話におけるカメラの位置は今後、より重要になっていくだろう。

 以前から「カメラ付きはFOMAで十分」とドコモ幹部は話していたが(1月28日の記事参照)、FOMAが思うように立ち上がらない間に、J-フォンの躍進を許してしまった。写メール人気に押し切られる形で、iショットをスタートした格好だ。後追いと言われても“カメラを付けなければ戦えない”。ドコモのそんな悲痛な叫びさえ聞こえてきそうだ。

 とはいえ、iショットで最も影響を受けるのは、おそらくJ-フォンだろう。J-フォンのDarryl E. Green社長は写メールの優位を強調するが(5月28日の記事参照)、今後のカメラ付き端末はJ-フォンの独壇場というわけにはいかなくなったからだ。

 その上同社にとって辛いことに、今回のiショットでは、共に写メールを育ててきたシャープが、ドコモ向けに端末を供給している。J-フォンのトップメーカーである同社が、ドコモ向けに端末を供給するということの意味は小さくない。同社が写メール初号機となる「J-SH04」を開発したのは2000年の末(2001年1月の記事参照)のこと。当初の写メールは「シャープ端末のみ」であったし、これまで同社は5機種の写メール端末をJ-フォンに提供してきている。言ってみれば“写メールといえばシャープ”だったのである。

 「シャープは、カメラ付き端末のノウハウを持っている」(ある端末メーカーの担当者)。うがった見方をすれば、独自開発にこだわってきたドコモが今回、シャープを“選んだ”のは、そのプライドを捨てても、写メール端末の開発ノウハウを欲しかったということができるかもしれない。

 いずれにせよJ-フォンは今後、KDDI、そしてドコモの追撃を振り切っていかなくてはならない。もちろん、これまで築いてきた“写メールブランド”の威力は大きいだろう。「写メールの楽しさは体験しないと分からない。(ドコモの参入で)市場が広がる」(J-フォン)ともいえる。ただし、全携帯キャリアがカメラ内蔵に参入することで、“カメラが付いていれば売れる”状況は過ぎ去った。より使いやすく、高機能なカメラをユーザーは求めていくだろう。2002年後半は、まさに“カメラの戦い”の様相を帯びてきた。

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[斎藤健二, ITmedia]

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