Mobile:NEWS 2002年6月6日 01:05 AM 更新

「モバイルマーケティングの広がりを期待させる」〜モバイル広告大賞

D2コミュニケーションズは、世界でも初めてとなる“携帯電話を利用した広告・キャンペーン”のコンテストを先頃実施したが、6日の同社セミナーで審査員たちがその講評を行った。携帯の液晶画面という制約の中、受賞作品はなにが光っていたのか――?

 D2コミュニケーションズは、6月6日に都内で開催した「モバイルマーケティングセミナー」で、同社が創設した「モバイル広告大賞」の審査結果を発表した。受賞作品は6月3日に発表されている(6月3日の記事参照)。

 モバイル広告大賞は、2000年6月1日から2002年3月31日までにインターネット接続機能付きの携帯電話に配信、掲出されたモバイル広告およびモバイル・マーケティング事例を対象に優秀なキャンペーンを選ぶもの。応募総数は78点に上った。

83×24ピクセルという制限内での挑戦


第1回モバイル広告大賞 表現部門 クリエイティブ賞受賞作

 表現部門は、携帯電話のバナー広告の中から8作品が受賞した。審査員を代表して講評を述べたのは、ワンスカイ インタラクティブのクリエイティブディレクター、内山光司氏。審査は、コピーの出来と83×24ピクセルの制限の中でどれだけデザインが工夫されているか、広告として一瞬で強い印象を与えているかの3点が基準になったという。

 作品は評価の高いものと低いものにはっきり分かれたと内山氏は話す。「コピーが心に響くか、小さい枠の中で無理のないデザインに収まっているか、ブランドが印象に残るかが分かれ目になる」

 受賞した作品は、いずれも携帯画面のバナーという制限の中にありながら「大胆に省略しつつも強い印象を残す」(内山氏)作品が選ばれた。

 「カゴメやリクルートはコピーに個人の関心を惹くフレーズを持ってきて、強い印象を与えている。ディズニーやインデックスは省略した線でうまくキャラクターを表現、一方で松下と明星はドット絵によるリアルなキャラを追求して同じ小さな枠内でも逆のアプローチでそれぞれ成功している。ジェイティービーは、文字と絵が整理されていて狭い広告枠を広く見せている」(内山氏)

 内山氏は今回の審査を終えて、モバイル広告の可能性の広がりを感じたという。また1年後には、全く違った作品が受賞するだろうと予測する。「通信速度も速くなり、色や動きがつくようになるかもしれない。携帯バナーは進化する面白いメディアだ」(内山氏)

キャンペーンで効果的に使われる携帯

 マーケティング部門は、広告キャンペーンの中に携帯電話が効果的に取り入れられている5つのプロジェクトが受賞した。講評を述べたのは、富士通総研M&Mコンサルティング事業部の佐々木一人氏。「モバイルをマーケティングにどう取り入れるかで先進性があり、広告効果の高かったプロジェクトが選ばれた」(佐々木氏)

 受賞したのは、キリンビバレッジ、ジーンズメイト、日本マクドナルド、ヤマハ、ロッテのキャンペーンだ。


ロッテのモバイルを利用したキャンペーン。着メロプレゼントでガーナチョコレートの購入者が増え、一時品切れに

 キリンビバレッジは、従来では缶に貼られたシールをハガキで応募するというプレゼントキャンペーンに携帯電話を採用。「ネットでFIRE」キャンペーンは、シールに記載されたアドレスとシリアルナンバーでPCやブラウザフォンにアクセス、表示されたゲームに勝ち抜くと缶コーヒーのオリジナルグッズがプレゼントされるという仕組みで実施された。

 「ハガキの応募のように手間がかからないためか、第1弾では1000万口、第2弾では2000万口の応募があったといい、商品の売り上げにも貢献している」(佐々木氏)

 携帯電話で人気の「待ち受け画面」や「着信メロディ」をキャンペーンに取り入れたのが日本マクドナルドとヤマハ、ロッテだ。日本マクドナルドの「モンスターズ・インク モバイルキャンペーン」では、メール会員へと誘導するために待ち受け画面を提供、ヤマハはソニーのAIBOを操作できる着メロプレゼントで同社が運営する着メロサイトのプロモーションを行った。

 ロッテはチョコレートのパッケージで着信メロディプレゼントを告知、パッケージに印刷されているIDで携帯電話サイトにアクセスすると、CMに使われている着メロをダウンロードできるキャンペーンを実施した。「従来は主婦層を中心に売れていた製品だが、キャンペーンで若年層の携帯電話ユーザーへの訴求が成功し、一時は品切れになるほど売れ行きが上がった」(佐々木氏)

 応募されたプロジェクトには、モバイルをキャンペーンへ効果的な形で取り入れようというチャレンジングな姿勢が感じられたと佐々木氏はいう。「今後はパーソナル性やインタラクティブ性、可搬性など携帯電話ならではの機能がキャンペーンにに組み込まれるだろう。iエリアなどといった位置情報サービスなどもキャンペーンにうまく取り込めば、モバイルマーケティングの新しい手法が生まれる」(佐々木氏)

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[後藤祥子, ITmedia]

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