504iを解剖する(2)
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機種 | 同時発音数 | ADPCM(着信ボイス) |
F504i | 32音/PCM | ○ |
D504i | 32音/PCM | ○ |
N504i | 32音/FM+8音/PCM | ○ |
SO504i | 32音/FM+8音/PCM | ○ |
P504i | 32音/PCM | ○ |
FM音源とPCM音源をどう見るか
504iの着信メロディの音源は大きく分けて、PCMを使ったものと、FMとPCMのハイブリッド型がある。簡単にいえば、FM音源は複数の周波数を組み合わせていろいろな音を発生させる方式。PCM音源は、実際の音を録音したデータを内部に持っており、それを鳴らす方式だ。
FM音源とPCM音源のどちらがいいのかは、とても微妙なところだろう。ドコモ以外ではFM音源の採用が多い。現在、J-フォン端末では基本的にヤマハのFM音源チップを採用。au端末ではヤマハのFMチップを載せるか、Qualcomm製ベースバンドチップに含まれているソフトMIDI機能を利用しているといわれている。
しかし、ドコモの504iではヤマハのFM音源を採用したのは「N504i」と「SO504i」のみ。ほかはPCM音源を使ってきた。
ミュージックエアポートの高山靖プロデューサーによると、現在のシンセサイザーではPCM音源が主流であり、「携帯でも将来的にはPCM音源に向かうのではないか」と言う。
同社は音楽サービスや技術商品の開発を行っており、504i向けの着信メロディも、第一興商の「メロDAM」に向けた商品開発、技術開発を手がけている。
となれば、PCMを使ったほうが現時点でも優位かというと、同氏によれば必ずしもそうでもないようだ。「現在のPCM音源はサンプリングレートがまだ低い。確かにリアルだが、S/N比が低く聞こえてしまう。自由度でいったらFM音源のほうが上」(高山氏)
N504iやSO504iに使われているFM音源は、ヤマハ製の「MA-3」と呼ばれるチップ。FM音源が苦手とするドラムなどの音を補強するためにPCM音源も採用し、自由度を大きく向上させた。また、録音した音を音色として利用できるのも特徴だ。
504iでは全機種が着信ボイスに対応。音声など生音を鳴らすことができる。しかし、録音した音をメロディとして鳴らせるのはMA-3ならでは。
メロDAMのサイトに行くと、「504iオススメ」というページの下に「メロDAM自信作選」というページがある。そのうちの1つ、「ナウシカ・レクイエム」はMA-3の特徴を活かした作りなのだという。「ランランラン」という声がメロディに乗って流れてくるのだが、実はサンプリングされたのは「ラン」という音だけ。1つの「ラン」を音色として使うことで、この表現を実現した。このように、歌詞の一部などをメロディに乗せて鳴らせる──それがFM音源を積んだ504iの特徴だ。
どちらにせよ、504iではPCMとFMが入り交じっている。これは機能が似通ってきたことに加え、価格の差があったのではないか、と見る関係者もいる。ヤマハのMA-3がサンプル出荷価格1100円であるのに対し、ロームの32和音PCM音源チップ「BU8788KN」は900円。部品レベルの価格差は最終製品では5倍になるといわれており、コストを気にしたメーカーもあったのかもしれない。
データサイズ10Kバイトの限界
504iでは、音源チップの機能が大幅に向上した。しかし、ダウンロードできる着信メロディのサイズは従来通り10Kバイト。10Kバイトでは16和音の場合でも「1分半くらいが限界」(ミュージックエアポートの木内健ディレクター)だという。
[斎藤健二, ITmedia]
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