Mobile:NEWS 2002年7月8日 00:23 AM 更新

携帯のカメラ機能、“撮った後”に望むこと

急速に進化する携帯に内蔵された“カメラ機能”だが、画素数やセンサの進化ほど改良が進まないのが画像管理ソフトウェア。撮影済みの50枚の画像から、ある1枚を探したいとき、どうしたらいいのだろうか?

 カメラを内蔵した携帯電話の登場が相次いでいる(6月19日)。魅力の高い新機能として期待が大きい“カメラ”だが、その機能──特にソフトウェアはまだ洗練されているとはいえない。

 特に気になるのは、撮影した画像を後から参照するのが難しい点だ。撮影した画像を“すぐに送信する機能”は、さすがに各端末が対応してきているが、以前撮った画像をうまく探せる工夫をしている端末は少ない。

後から画像が探しやすいかどうか

 東芝のモバイルコミュニケーションズ社・堀重和統括技師長がセミナーで語ったところによると、典型的なユーザーの場合「撮った写真のうち、メールで送るのは1割くらい」だという。9割は、端末内のメモリに埋もれているわけだ。

 今主流なのは、保存できる写真枚数が数十枚程度の端末端末だが、既に数百枚保存可能な端末も登場している。携帯のメモリ容量は年々倍増ペースで増えており、今後は大量の画像を携帯内部で管理する必要に迫られるだろう。

 最低限ほしいのは、フォルダ分け機能だ。カシオ計算機のau向け端末「A3012CA」では、日付ごとにフォルダが作られ、撮影した画像はその日のフォルダに入るようになっている。さらに、自分でフォルダを作って整理し直すことも可能だ(4月4日の記事参照)。このくらいの工夫はほしい。

 ファイル名の付け方にも問題がある。シャープ製のNTTドコモ向け端末「SH251i」のように(6月3日の記事参照)、「sh0001」「sh0002」と単なる連番になってしまうのは問題外。多くの端末では、日付をファイル名の基本として使い、さらに連番を振っていく。しかし、一部の端末ではファイル名が長すぎて画面に収まりきれず、ひと目見ただけではそれぞれのファイルの区別がつかないものもある。こちらもいただけない。

 理想をいえば、画像はファイル名一覧ではなく、サムネイル表示してほしいところだ。小さな画像が画面に複数表示されるサムネイル表示は、デジタルカメラでは一般的な機能。しかし、携帯ではまだポピュラーではない。あるカメラ内蔵端末のメーカーにサムネイル表示の可否をたずねたところ、技術的な問題ではなく表示速度がネックになるのだという。


7月9日付記:J-フォンの三菱電機製端末(「J-D06」「J-D05」)、三洋電機製端末(「J-SA03」「J-SA04」)、ノキア製端末(「J-MN01」)や、ツーカーの三洋製端末「TS11」には、撮影した画像をサムネイル表示する機能が付いている。画面は、J-SA04のもの。4つのサムネイルを確認できる(一覧)ほか、ファイル名と撮影時刻、サムネイルの表示(詳細)、また画面いっぱいに画像を表示することが可能。ただし、毎回本画像からサムネイルを作成しているようで、表示に多少時間がかかるのが難点だ


J-フォンの「J-D06」の画面。撮影した画像は9コマのサムネイル画像として閲覧できる。また、撮影した場所の一覧から画像を選択することもできる

位置情報やアドレス帳などとのリンクはどうか?

 単純に画像ファイルの見せ方を工夫するほかに、もう1つ考えられるのは携帯電話が備えている機能と連携して画像を管理する方法だ。今のところ、撮った画像をメールに添付して送る……くらいしか、カメラと携帯はリンクしていない。しかし、位置情報やアドレス帳と画像を組み合わせることも可能ではないか。

 GPS機能を備えるau端末では、撮影した画像と位置情報をまとめて管理できるようになっている。J-フォンの写メール端末でも、東芝製端末の「旅モード」のように、位置情報を画像に付記できる。


東芝製写メール端末「J-T51」の「旅モード」

 しかし、この位置情報の活用はまだ不十分。画像に付けられた位置情報から地図を表示するのがせいぜいだからだ。画像の管理、という観点でいえば、地図から画像を引くのはどうだろうか。「3カ月前、横浜近辺で撮影した画像を表示」することは、技術的には難しい話ではない。位置情報が利用できるのは携帯電話ならでは。逆引きに限らず、さらなる有効活用を期待したい。

 撮影した画像を、アドレス帳にリンクさせることができるのも携帯でこその機能だ。東芝製の「J-T51」では、アドレス帳にカメラで撮影した顔写真を貼り付けられる。ありそうで、案外なかった機能だ。


J-T51では、アドレス帳に顔写真を貼り付けることが可能

 カメラ自体の性能がまだそれほど高性能ではないため、携帯内蔵カメラは人物撮影が中心と見られる。どうせ人物を写すなら、人物のデータベースであるアドレス帳と積極的に連携させてはどうか。A君のアドレスを開くと、写真一覧という項目があり、そこを開くとA君が映った写真が並ぶ──。別に画像認識をさせるまでもなく、撮影後にアドレスとのリンクを設定できるだけでも、検索性は高まる。

安易な“PC化”ではなく、携帯ならではの方向を

 携帯内蔵カメラで撮影した画像ファイルの管理……というと、簡単に思いつくのは「PC並みのファイラー」を装備することだ。並び替えや検索、移動や削除がWindowsのExplorerのようにできれば、確かに便利だろう。しかし、マウスも付いていなければ画面も小さい携帯電話の場合、その方向には限界がある。

 では、「J-SH51」のように取り外し可能なメモリカードスロットを備えてしまうのはどうだろうか(3月4日の記事参照)。撮影した画像の管理はPCで……という方法だ。ドコモ向けiショット端末でも、メモリカードスロットを備えた端末が登場予定であるなど(6月19日の記事参照)、1つの流れとして、これは考えられる。

 しかし、PC利用者よりも携帯利用者のほうが圧倒的に数が多いことも忘れてはいけない。バックアップやデータ転送の手段としてメモリカードを位置づけることはできるが、管理方法は端末内部でも考えるべきだ。この点は、PCとの連携が基本となるデジタルカメラと大きく異なる部分だろう。

 携帯のカメラ機能はまだ生まれたばかり。カメラに比べて歴史の長いアドレス帳やメール機能でさえ、ソフトウェア的な出来に注目が集まってきたのは最近のことだ。どうしてもハードウェアのスペック向上が主眼になってしまうのは分かるが、アプリケーション部分の作り込みにも期待したい。

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[九条誠二, ITmedia]

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