Mobile：シャープのLinuxザウルス「SL-A300」ファーストインプレッション

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2002年7月11日　11:09 PM 更新

シャープのLinuxザウルス「SL-A300」ファーストインプレッション（2/2）

ハードウェア性能は

　外観は、「MI-E25DC」と比べても小型軽量化がひと目で分かる。内蔵キーボードを廃し、小型化を図った成果は保護カバーとスタイラス込みでも、わずか約138グラムという軽量さに現れている。

　本体上面には、ヘッドフォン端子も装備されているが、試作機では利用するアプリケーションは用意されていなかった。製品版ではMP3プレーヤーなどのソフトが搭載されることに期待したい。

　本体左側面には、ストラップ穴、赤外線ポート、電源ボタンが配置されている。液晶保護カバーはスプリングのバーではめ込む方式である。ちょうど時計の金属ベルトの固定ピンと同じような仕様だ。この固定方法は、取り付けは容易ながら、固定や保護カバー自体の耐久度にはちょっと不安が残る。

　本体正面の操作ボタンは、左から「HOME」「Cancel」「十字カーソル」「OK」「Menu」という構成だ。ユニークなのは、左右のボタンがセパレートでなく、「HOME」と「Cancel」、「OK」と「Menu」が、それぞれ1ピースになっていることだ。それぞれのボタンを押すとボタンが傾く感じだ。

　実際に使用してみるとクリック感は甘いが、ボタン間を滑らせるようにして操作できるため、セパレートタイプのように指先に負担がかからない。

ザウルスのボタン部分。左右のボタンは1ピースで、指を滑らせるようにして押す

　背面のリセットボタンからのハードリセット時の起動時間は約50秒前後と、ほかのアーキテクチャのPDAと異なり、少々長い。シャープによれば「製品版では約15秒」になるとのことだ。起動後の電源のオン/オフは、ほかのPDAと同様に瞬時に行われる。なお、サスペンド時の電源オフ状態からのハードボタンによる起動は、設定タブにある「キー設定」により「ホーム」「OK」「メニュー」キーで行える。

一貫したコンセプトは、シンプルインタフェース

　操作のインタフェースはシンプルで、ホームポジションは、「Home」ボタンを押すたびに、「アプリケーション」「設定」「ファイル」と切り替わる。これらは、画面上部のアイコンをタップすることでも切り替えが可能だ。

　またLinux OSをベースとしながら、その存在はユーザーからは見えず、Linuxベースであることをユーザーには意識させないアプローチをとっている。ヘビーユーザーからは物足りないという声も出そうだが、ファイル管理の画面では、ユーザーデータのみが参照可能であり、ユーザーはシステム内のファイルへのアクセスはできないようになっていた。

試作機に入っていたアプリケーション（左）、ザウルスから行える設定（中）、ファイル管理画面（右）

　日本語入力は、ソフトキーボードか手書き入力で行う。手書き、50音キーボード、英数キーボード、数字、記号、区点から選択可能だ。

　手書きの入力インタフェースは、基本的に従来のザウルスのものを継承している。異なるのは、入力パネルが3通り用意されている点で、パネル右上の「切り替え」ボタンで「3窓分割の入力」「3窓仕切なしのフリーエリア入力」「3窓の文字種別（カナ漢字、英数、数字）」を使い分けられる。

手書き入力時の3通りのインタフェース。「3窓分割の入力」（左）、「3窓仕切なしのフリーエリア入力」（中）、「3窓の文字種別（カナ漢字、英数、数字）」（右）

　文字認識は、ザウルス同様ストレスなく動作する。ラフに入力できる入力窓の仕切がないフリーエリア入力や、文字種ごとの専用窓を持つ入力パネルもあり、選択肢が広がっている。これは好感が持てる。試作機のためか、入力時の認識やレスポンスには若干のもたつきが感じられたが、製品版で改善されることを期待したい。

ザウルス　SL-A300が目指すもの

　「SL-A300」は、ユーザーが利用するデータの活用にフォーカスされており、データビューワとしての明確なコンセプトが見てとれた。オプションで通信アダプタによる通信手段も提供されるが、メインとなるのはPCとのシームレスなデータのやりとりで、そのために搭載された「ザウルスショット」「ザウルスドライブ」の使い勝手は良好だ。

　SL-A300は、シャープのオーインワン型PDAから新時代の高機能なオーガナイザーPDAへのチャレンジともいえる製品。製品版の登場が楽しみだ。

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