Mobile:NEWS 2002年8月1日 04:43 PM 更新

リアルとネットをカメラがつなぐ〜「J-SH09」

「内蔵カメラによるバーコード読み取り機能」──プレスリリースにはうたわれていなかった、「J-SH09」最大の機能だ。この機能は“お遊び”でしかなかった携帯内蔵カメラを、“リアルとネットをつなぐ、携帯の目”へと変える可能性を持っている

 J-フォンの新写メール端末「J-SH09」は(7月30日の記事参照)、単なるエンターテインメントではない携帯カメラの利用法を開いた端末として記憶されるかもしれない。

 J-SH09のカメラは、リアルな物体とバーチャルなネットとを結び付ける役割を果たす。そのカギが、「バーコード認識機能」だ。内蔵カメラでバーコードを写すと、そのバーコードに含まれる文字や数字を認識できる。

 対応するのは、一般に「バーコード」として有名な「JANコード」と、2次元コードである「QRコード」。JANコードは13桁の数字(8桁の短縮もあり)を、QRコードは最大で数千文字の情報を含んでおり、J-SH09はそれらをテキストデータなどとして読み取れる。


通常のカメラ撮影とは異なるメニューから、バーコード認識に入る。シャッターを押して撮影した画像を認識するのではなく、ファインダーでバーコードを捉えていれば勝手に認識する。写り具合にもよるが、速い時は瞬時に内容が表示される。J-SH09に搭載されたマクロ撮影機能は、このためにあるともいえる

カメラとバーコードでできる、これだけのこと

 これまでの携帯内蔵カメラの被写体は専ら「人物」や「風景」など(7月31日の記事参照)。あくまで従来のカメラの延長線上にあり、撮影した画像をメールで送信できることを除けば、“性能の悪いカメラ”でしかなかった。

 携帯に情報を提供しようと思った場合、最もハードルが高いのは“URLを入力してもらうこと”だ。iモードの公式サイトのように、リンクだけでページにたどり着ける仕組みがもてはやされる理由はここにある。

 ところが、バーコードは、すべてのリアルな物体を“リンク先”に変える可能性がある。応用範囲はさまざまだ。ある商品の情報をもっと知りたいと思ったとき、商品に記されたバーコードを認識。記載されたURLにジャンプ──。そんなことも実現できる。

 携帯上に、個人用データベースを作るのも簡単だろう。蔵書録や冷蔵庫の中身のデータベースは、だれもが興味をもちながら、実際の作成は難しい。しかし、商品に付けられたJANコードを読み取れれば、持っている物品のデータベースを簡単に作ることができる。ネットと連携することで、商品情報へのリンクさせることもできる。

 情報の入力手段としても、大きな可能性を秘めている。赤外線やBluetoothを使った通信では、対応した機器からしかデータを受け取れないが、バーコードなら印刷物でいい。例えば名刺に、2次元コードを印刷。J-SH09で読みとると、名刺の情報をvCard(用語)として認識できる。そのままアドレス帳に登録。こんなことも可能だ。しかも、必要なコストは名刺の隅にちょこっとコードを印刷するための印刷代ぐらいだ。

今後の展開に期待

 バーコードを認識できる最初の携帯として、J-SH09が持つ可能性は大きい。ただし、不満点や普及への懸念がないわけではない。

 1つは処理能力や認識精度だ。もちろん、手で入力するのに比べたら間違いなく速いのだが、POSレジのスキャナのように読みとれるわけではない。

 2つ目は、認識した情報の活用法だ。試したのは試作機だが、読みとった情報は「コピー」することしかできなかった。URLならば、Webに直接接続したいし、vCardならアドレス帳への登録へスムーズに流れてほしい。数値データならば、ユーザーが指定するURLに引数として渡すくらいのことはできていいはずだ。

 3点目は、バーコード読み取り機能の普及への懸念だ。こうした機能は普及してこそ価値がある。多くの名刺に読み取り用のコードが印刷され、商品と連動したネット上のサービスが出てきてこそ、真に使えるものになる。J-SH09自体は、爆発的な売れ行きが予想されるが、J-フォンにはぜひほかの写メール端末にも同様の機能を搭載していただきたいと思う。

 そして、J-フォンやシャープによる確実な情報公開が必要だろう。QRコードはサイズ(情報量)や誤り訂正率などさまざまなパラメータが設定できるが、どこまでがJ-SH09で読みとれるのかは不明。試用した端末でも、コード分割したQRコードは「対応していないQRコードのため、認識できません」と表示された。どのコードが読み取り可能で、どれがダメなのか。こうした社会インフラ的な機能は情報をオープンにし、賛同者を集めてこそ意義がある。単なるお遊び機能になってしまわないよう、積極的な展開を期待したい。

バーコードとは

 コードには、大きく分けて1次元シンボル(バーコード)と2次元シンボル(2次元コード)の2種類がある。


JEITA主催AIDCセミナー、オムロンITソリューション事業部情報機器課PMM 大塚裕氏の資料より

 JAN(Japanese Article Number)コードはバーコードの代表例。日本の共通商品コードとして流通情報システムの基盤となっている。

 QRコードは、デンソーが開発したもので、国内の2次元コードの主流となっている。その大きさや、誤り訂正能力の多寡で情報量は異なるが、最小で数十文字、最大では数字で約7000文字、英数字では約4000文字、漢字約1800文字の情報量を持つ。リード・ソロモン符号化を用いた誤り訂正機能を持ち、最大約30%が隠されていても読み取り可能だとされている。

 デンソーのWebページでは、PCでQRコードを作成、印刷できるソフトウェアが配布されている。QRコードの使用料は必要なく、誰でも自由に利用可能。

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関連リンク
▼ QRコード.com(英語・日本語)
▼ デンソー QRコードのページ
▼ 財団法人 流通システム開発センター JANコードのページ
▼ J-フォン

[斎藤健二, ITmedia]

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