Mobile:NEWS 2002年8月2日 12:32 PM 更新

インターネットの普及はモバイルから〜中国の携帯電話事情

12億7000万人もの人口を抱える中国は、日本の携帯電話業界にとっても魅力的な大市場であり、参入を目指す企業が多い。その中国では今年後半から2.5世代サービスが本格化、音声通話からデータ通信利用への移行が始まろうとしている

 中国の携帯電話利用者は1億8000万人といい、年内には2億人を突破すると予測されている。2005年には4億人に達すると見られ、その大きな市場に期待する日本の携帯電話関連企業も多い。

 現在は音声利用が中心だが、GPRSやCDMA2000 1xなど2.5世代サービスの本格化に伴い、データ通信へのニーズが高まることが予測される。

 7月30日、三菱総合研究所とスリーレインボーの共催によるセミナーに、中国移動広東移動副総経理の林振輝氏が招かれ、携帯電話市場の現状と、中国版iモードサービス「移動夢網」(Monternet)のビジネスモデルについて語った。


中国移動広東移動副総経理の林振輝氏

中国移動体通信の歴史と現状

 中国では、シェア70%の中国移動(チャイナモバイル)と、30%中国聯通(チャイナユニコム)の2大通信事業者が携帯電話サービスを展開している。中国移動はアナログ方式のTACSから始まりデジタル方式のGSM(用語参照)へと進化。昨年からはGPRS(用語参照)を導入し、今後は第3世代のW-CDMA(用語参照)へと移行するロードマップだ。対する中国聯通は、今年後半からCDMA2000 1xの本格サービス開始に向けて動き始めているという。

 林氏は、中国移動の子会社である広東移動の副総経理を勤める人物。サービスが開始された1996年当時、誰も使う人がいなかったショートメッセージサービスについて、ビジネスモデルさえ確立できればユーザーに受け入れられると確信、Mini-internetというコンセプトを提唱した。

 Mini-internetの柱は3つ。1つはメッセージの受信者側には課金しないこと。「中国の電話は双方向に課金される仕組みになっているが、ショートメッセージサービスは送信者のみの課金にした」(林氏)。そしてサービスプロバイダとASPの導入、中国移動による課金代行を相次いで実施。さらにモデルがある程度確立したところで「ネットワークインフラを思い切って拡張した」(同氏)。

 中国移動は2000年には広東移動から始まったMini-internetを中国全土に展開。名称もMini-internetから「インターネット」「モバイル」「マルチメディア」を融合した「Mternet」(エムターネット)に変え、一般ユーザー向けには「Monternet」(モンターネット)というサービス名で、iモードライクなサービスを開始した。


 2001年になると、コンテンツサービスがビジネスチャンスにつながることが理解され始め、インターネット関連会社の参入が相次いだという。成功しているコンテンツプロバイダの場合、今では1カ月の売り上げが1千万元(約1億4500万円)に上るそうだ。

 現在、広東移動のショートメッセージサービスの伸び率は毎月50%で、中国移動の中でも売り上げの一定比率を占めるようになったと林氏は話す。「エンドユーザーのショートメッセージの利用比率は85%」(同氏)。最近ではショートメッセージベースのEコマースサービスもスタート、水道や電気料金の支払いも可能になった。「深セン省ではくじの購入も携帯でできる」(同氏)。作者が日本人の対戦ゲームも人気を集めているという。

インターネットは携帯電話から普及

 中国では今後、インターネットは携帯電話から普及すると林氏は予測する。いつどこからでも使えることに加え、PCに比べて操作が容易だからだ。「中国では子どももショートメッセージを使っている」(同氏)。


GSM(左)からGPRS(右)へと移行が進むと携帯からインターネットにアクセスする人口が大幅に増えると林氏は予測する。緑がPCからアクセスする人の比率、赤が携帯電話から

 また林氏は、マルチメディア対応の携帯電話が普及するにつれ、通信キャリアと端末メーカーとの協力が重要になるという考えだ。日本では端末やコンテンツの全体の仕様を通信キャリアが決めるという構造になっているが、中国ではこれまで端末メーカーが独自で仕様を決め、キャリアは運用だけを行うという構造だったという。「キャリアは必然的にインターネット接続会社になっていく。そうなると、キャリアの基本的な売り上げ部分の伸びには限界が見えてくる。今後はその上に乗るサービスが重要になってくる」(林氏)。


グラフの緑の部分が通信キャリアの基本的な売り上げを示す。今後の大幅増は見込めず、コンテンツプロバイダや端末メーカーなどとの協力によって提供するサービス(赤の部分)が今後重要になると林氏

 中国移動ではGPRSの導入で、Javaやマルチメディアメッセージサービスなどのリッチコンテンツ提供に本腰を入れていくと林氏。「技術がよくてもサービスが伴わなければ意味がない。コンテンツプロバイダは新しい通信インフラの上で展開するサービスや、サービス展開に伴うビジネスモデル構築に注力するべきだ」(林氏)。

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[後藤祥子, ITmedia]

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